このところ、ランニングのお供でiPodに入れて気に入っているのが、昨年公開された『シャイン・ア・ライト』のサントラ盤。
2006年秋のニューヨーク、ビーコン・シアターで行われたローリング・ストーンズのライブを、アカデミー賞を獲ったベテラン映画監督でもあるマーティン・スコセッシが映像化したもの。たしか昨年暮れに公開されて、それなりに話題になっていたと思うんだけど、評判を聞いているうちに上映が終わってしまっていたような...。 先頃、DVDが発売になったというので、さっそくツタヤに行ってみると、あるある『シャイン・ア・ライト』。ここ上野のツタヤでは、フツーの映画に比べて音楽関係のDVDは情けないくらい貧弱なコーナーなんだけど、さすがに劇場公開された映画だとフツーの映画と同じように並べられていた。 で、その内容はというと、...いやー、想像していた以上、もうスバラシイ!! サントラで聴いてはいたけど、やっぱりライブは見ないと。ぜひとも劇場で映画を見ておくんだったと、つくづく後悔した。 ここでワタクシのこれまでの音楽履歴を少しふり返っておくと、これまで、とりたててストーンズをよく聴いてきたわけではない。 洋楽=ロック・ポップスを聞きはじめた70年代末ころ、ビートルズ解散後のポピュラー・ミュージックの世界で、記憶する限りではすでにローリング・ストーンズは大物ロック・バンドだったし、新作を出せば雑誌で特集をされるような存在ではあったように思う。 それでも、ビートルズに関してはFMでの特集なんかがあるとマメにエアチェック(死後ですね)していたものの、ストーンズはほとんどまともに聴いたことがなかった。またFMで特集が組まれて放送されることもあまりなかったように記憶するが、どうだろう。 そんな感じなので、ストーンズと言えばやはり「サティスファクション」、またリアルタイムで聴いたのは「ミス・ユー」「スタート・ミー・アップ」「アンダーカバー・オブ・ザ・ナイト」というくらいが耳に残っているくらいだ。 そんな程度のストーンズ・リスナーでも、このDVDは十二分に楽しめた。 冒頭、スコセッシ監督側はコンサート会場のセッティングや撮影カメラの位置、また当日のセット・リストをミック・ジャガーに問いただすのだが、ミックの対応はまったくもってそっけなく、つれない。主導権はオレにある、ということなのだろうか。そんな舞台裏の映像から始まり、ライブ当日、ようやくセット・リストが出て、1曲目の「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」が始めると、あとはもう怒濤のごとくラストまで。18台のカメラを駆使したというだけあって、次々と切り替わる映像にもまったくムダがなく、ライブ会場にいる以上の臨場感。なんせ、ミック・ジャガーやキース・リチャードの顔のしわまで、それはもうリアルによく見える。 メンバーの平均年齢64歳。ミック・ジャガーも1943年生まれというから当時63歳。顔のしわこそずいぶんと増えたものの、およそ年齢を感じさせない動き、オーラ。また、このDVDを見ていると、プロとして第一線でやり続けてきた蓄積(半世紀近くだ)とでも言えばいいのか、バンド・メンバーの間に流れるあ・うんの呼吸というか、信頼感といったようなものが伝わってくる。 また、ライブ映像の間に挿入される過去のインタビュー映像も、ワタクシのようなストーンズ初心者にはなかなか面白かった。 たとえば最近のインタビューで、「ギターはどっちが上手い?」という問いかけに対してキースが、「二人とも下手だが、二人そろえば最強だ」と答えるシーンなんて、じつにいい。カッコいいじゃないですか。 終盤、エンドロールがけっこうな時間流れるのだけど、最後まで見ると、スコセッシ監督のお茶目ぶりがよく分かる。 この映画をいちばん楽しんだのは、じつは監督自身なのかも。
by t-mkM
| 2009-07-13 23:38
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