先週、実家で一人暮らしをしている父親が、倒れた。
すぐに救急車で病院に運ばれたこともあり、(ま、いろいろとあったのだが)いまはなんとか容体が落ち着きつつある。そんなこともあり、この一週間というもの、心身ともに慌ただしく、ざわざわと落ち着かないのであった。 昨日も病院に行ってきたのだが、往復の電車内で読んでいたのは、こんな本。 『ワセダ三畳青春記』高野秀行(集英社文庫) 『本の雑誌』によれば、この著者は「エンタメ・ノンフ」(エンターテイメント・ノンフィクションということらしい)の筆頭らしいけど、ワタクシは初めて読んだ。 たしかに面白い、笑える。 しかも、著者がこのアヤシイ住人の集まる「野々村荘」に住んだのが昔の話ではなく、バブル絶頂期から2000年までの11年間、というところもポイントだ。三畳一間で家賃一万二千円。しかも11年間値上げされず、というのも世の中から隔絶している気がするが、それにもまして、この大家のおばちゃんがすごい、というかエライ。著者がこのおばちゃんに呼ばれ、たまに大家さん宅で食事をごちそうになる場面が書かれているが、ワタクシにも似たような経験がある。 90年代初頭、バブルははじけたものの、すぐに景気は元にもどるのでは、と皆がなんとなく思っていた頃、当時、西東京の郊外でアパートの2階に住んでいた。1階には大家のばあさんが住んでいて、もちろん入口は別。隣にはばあさんの息子さん一家が軒を連ねていた。 そのアパートの住人も「野々村荘」より平均年齢が高いものの、長年住んでいるおばあちゃん、始終仏頂面しているおばさん、引きこもりがちな若いお兄さんと、多士済々?だった。その中で、なぜかワタクシは大家のばあさんに好かれた。 なんせ、1階には大家のばあさんが住んでいる。なので、ばあさんが玄関から庭に出てきて2階に向かい、「○○さーん、ご飯があるけど食べるぅ?」と声をかけてくる。さすがに断るわけにもいかないので、「分かりましたぁー、いただきますぅ」と返事をして階段を下りて玄関へ回ると、なぜだか近所のばあさんも来ていて、ニコニコとこちらを待っている。しかたがないので、ばあさん連中に囲まれて食事をするのだが、「なんでオレは朝っぱらからばあさん達を相手に話しをしながら朝飯食ってんだ?」という疑問が頭をもたげてくる。しかし当時、奨学金で暮らしていたこともあり、それにばあさん相手の食事も、それはそれでなかなか楽しかったので、朝飯ではけっこうお世話になった。 あの大家のばあさん、当時すでにしわくちゃだったから70歳を越えていたか。まだ元気だろうか。
by t-mkM
| 2009-10-22 23:56
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