人気ブログランキング | 話題のタグを見る

いまどきの食卓の現実

図書館に予約しておいた本、忘れた頃に連絡があった。

 『家族の勝手でしょ! 写真274枚で見る食卓の喜劇』岩村暢子(新潮社)

どうして予約したのか覚えていないのだが、『本の雑誌』で紹介されていたんだっけ?...。まあいいや。
「写真274枚で見る食卓の喜劇」とあるとおり、多数の写真によってごくフツーの家庭における”いま、ここにある食卓”をリアルに映し出す。


調査対象は1960年以降に生まれ、首都圏在住の子持ちの主婦。
詳しい聞き取り調査とあわせて、調査対象者自身にレンズ付きフィルムカメラで一日三食、一週間分の食卓を撮影してもらい、そのまま現像せずに送ってもらっている、というのが特徴。なぜ「フィルムカメラ」なのかというと、デジカメでは加工できるから、また調査期間が一週間なのは、一日や三日程度では調査対象者が張りきって料理することもできるが一週間だとそうもいかない、からだとか。
なるほどね。
調査は現在でも続いているらしいが、本書では2003年から2008年のデータで構成されている。

それにしても、ここに出てくる食卓の写真が目をひく。
詳しい調査方法や調査結果を分析するアプローチなど、学術的な側面からはいろいろと異論もあるようにも思われるし、また、文章の記述などでツッコミどころもある。それでも、定点観測した食卓の写真のインパクトは強烈だ。
目次から目につくタイトルを抜き出しておくと、お菓子化する食事とその理由、消える味噌汁、明暗分ける実家の差し入れ、人数分出されない魚料理、欠食する子供たち、子供リクエストで子供が粗食、ネットカフェ化する家庭と主婦、揃ってもバラバラメニュー、等々。
具体的に思い出して書いてみると、
・幼児の朝食がマルボーロ16粒!と牛乳だけ、
・家族4人そろっての夕食でも、メニューは全員バラバラ、
・サイコロ・ステーキ、キャベツの千切り、もやしが3つの皿にそれぞれ盛られている夕食で、なぜそうなのかというと、「家族それぞれ好きなモノが違うからいっしょに炒めたりしない」、
などなど。

自分自身をふりかえれば、ここに挙げられたような食事内容と似通ったメニューだったこともあるし、「えー、そんな食卓ありえないでしょ」とまでは言えない。そういう意味でも、ここに出てくる食卓はフツーの家庭だろうなとも思う。が、それにしても、いいとかわるいとか、そういう次元を越えて、ある意味けっこう衝撃的である。
パラパラ読んでいるだけでも、誰かに何ごとかを語りたくなってくる。そんな感じ。

この本をネタにいろいろなことを考えられると思うが、感じたことをひとつだけ言うと、もはや「常識」はおろか「普通の...」とか「一般」ということすらも通用しないのかもしれない、ということ。お互いに”話し”が通じるということは、なんらかの共通の基盤があってのことだと思うけど、そうした”基盤”があるという前提は、もはや自明のことではないのかも、といったことを思ったりした。


千駄木・よみせ通りイベントでの古本市  古本Tも出店します!
 
 日時:2010年11月21日(日)10:00〜17:00頃
 場所:「コシヅカハム」隣の立体駐車場
  ※よみせ通りには、千代田線・千駄木駅、JR・日暮里駅、
   千代田線&JR・西日暮里駅などが便利です。
   よみせ通り商店会のサイト→ http://yomisedo-ri.com/
 主催:不忍ブックストリート
 出店者など詳しくは→ http://d.hatena.ne.jp/shinobazukun/20101104

by t-mkM | 2010-11-12 00:41 | Trackback | Comments(0)


<< 蔵前〜浅草散策 千駄木・よみせ通りイベントでの... >>