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もろもろ

気にとまったことをいくつか、順不同で。

○佐々木敦さんのツイッターを見ていたら、こんなつぶやきが目にとまったのでメモ。
「これは個人的な意見だが、批評が成立し得る距離を保てないのなら、批評をするべきではないと思う。僕の考えでは、こうすればもっとよくなる、というのは批評ではない。君がやっているのはこういうことだ、というのが批評なのだ。批評は創造にコミットするべきだが、創造と同じ次元でやるのは間違いだ。」
http://twitter.com/sasakiatsushi/status/59636084358918144

○先日、出たばかりの『新潮』5月号を購入。目当てはいくつかあるけど、谷崎潤一郎の『瘋癲老人日記』音声劇CDが付いていたのも大きい。文芸誌を買ったなんて、もしかするとこれが初めてかもしれない。
で、目当てのCDを聞いてみた。へえ、谷崎ってこんな声なんだ、とか、淡々と脚本?を読んでいく声の調子がなんとも言えないなぁ、などなど、思うところいろいろ。購入したからというわけではないけど、この付録CD、じつはけっこう貴重なのでは。

○震災後に計画停電などをやっていた時期、誰が書いていたか忘れたけど、いまこそ谷崎の『陰翳礼賛』なんかを読み返してみたらいかが?、みたいなことを言っていた。たまたま「ブ」にいったら、ちょうど最近出た中公文庫の『陰翳礼賛』があったので、買ってきて読んでみた。すると、あの付録CDから聞こえた谷崎の声が、文章を追うごとに頭の中に響いてきて、なんとも不思議な感じ。付録CDから聞こえてくる調子そのままに、谷崎が『陰翳礼賛』を朗読するかのように読めてくる。いや、読まされてしまう、というべきか。

○『北アイルランドとミューラル』佐藤亨(水声社)を読んだ。


”北アイルランド”というと、ベルファスト、IRA、紛争、流血…、などという連想をする程度の知識しか持ち合わせていないけど、1998年の「ベルファスト協定」以後は和平プロセスがすすみ、かなり平和になったらしい。
「ミューラル」とは壁絵のこと。スプレーで書かれた落書きはよく目にするけど、ここでいう「ミューラル」はそんなものではなくて、家や通りの壁などに描かれるメッセージ性のある絵や文字だ。相当大きなものもあり、プロの書き手が描いたりもするとか。内容は歴史的なものから政治的な題材まで様々。著者はあとがきで、
「ミューラルとは何か。それは刺青のようなものかもしれない。わたしが最初に見たとき、それは北アイルランドという身体に彫られた意味のわからない、しかも全身に彫られた痛々しくも激しい記号だった。」
と記している。この本にあるたくさんのミューラルの写真を見ていると、刺青とはうまいこと言うと思った。

○また、この本のあとがきでは、著者が「言い得て妙だ」と感じた言葉として、ベルファストの街角にあるパブの壁にあった言葉が最後に引かれている。
「過去を片方の目で見続けている国は賢明である。過去を両の目で見続けている国は盲目である。
A nation that keeps one eye on the past is wise. A nation that keeps two eyes on the past is blind.」
by t-mkM | 2011-04-19 00:53 | Trackback | Comments(0)


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