思い返せば、仙台に来るのはじつに十数年ぶり。K(かんから)は初めてとか。
23日の14時半ころに黒磯駅を出て、仙台駅に着いたのは17時半過ぎ。覚悟はしていたものの、東京にくらべると仙台は寒い。ホントに寒かった。ホテルにチェックインしたあと、少し辺りを歩こうかとも思ったけど、寒くてそれどころでは…。なので、まずは目的を果たそうと古本酒場「鉄塔文庫」へ。 鉄塔文庫のある壱弐参(いろは)横丁の前身は、戦後直後に露店商が集まってできた中央公設市場。仙台駅から徒歩数分、青葉通りを少し入った仙台中心地とも言えるところで、よくもいままで残っていたと思わせるほど、昭和なかばの香りが色濃くにじむ一角である。ただ現在は、すぐそばで一番町の再開発=高層ビル建設が進行中で、街並みのコントラストが一段と激しくなりそうな区画ではある。 古本酒場というだけに、鉄塔文庫の店内は狭いながらも向かい合う壁に頑丈そうな本棚がひしめいている。なんでも自作とか。本棚には店主である川村さんの蔵書などで埋められていて、一部は販売もしている。立ち飲みと聞いていたけどイス(これもお手製か?)もあって、天井や床、テーブルまで木目を生かした造りのため、さながら山小屋のこじんまりとした書斎で飲んでいる感じ。さらには2階もあって、ギャラリーとして活用する予定だそうだ。 鉄塔文庫 Facebook 一息ついたあと、川村さんたちにも勧められ、定禅寺通りで行われている「光のページェント」を観に行く。かなりのにぎわいで、イルミネーションに照らされた渋滞ぎみの通りでは、バイクに乗ったサンタクロースの集団?が子どもたちに菓子を配ったりしていた。 寒いので、また鉄塔文庫にもどって飲み直し。帰りぎわ、火星の庭の前野さんたちが来ていたので紹介していただきながら、ひとしきり話しをする。 翌24日は塩釜を再訪。 「塩竃ブックエイド」のときは2日間とも店主やお手伝いやらで忙しく、会場と打ち上げ場所以外には行けなかったため、今回はじめてゆっくりと街を歩けた。 見た目には震度6強の地震に襲われたとは思えない街並みになっている仙台駅前にくらべ、本塩釜駅を降りて街を歩いてみると、いまだに地震と津波の被害があちこちで目につく。商店街では津波に襲われた直後の写真を店先に貼りだしていたりするし。また、新装されてきれいになった店舗がある一方、おなじ商店街でも一区画ちがうだけで土台だけがむきだしとなっていたり、傾いた廃屋がそのままだったりと、しだいに個人や場所による復旧の差が出てきているようにも感じられた。 そんな中を、こちらはきれいに改修された浦霞の醸造元へ。 浦霞の名が入ったおちょこを300円で購入し、3種類の清酒を試飲する。宮城県限定販売の純米酒のほか、震災で崩れた貯蔵樽をもとになんとか造ったという吟醸酒も。なかでもこの吟醸酒、ラベルには改修で足場が組まれた蔵元の建物のイラストに「2011」の文字が入っており、店の方いわく「私たちにとって今年を象徴する酒です」とのこと。 せっかくなので鹽竈神社まで階段をのぼってふたたびお参りしたあと、見学無料でもあるので旧亀井邸にも立ち寄った。 現在は宮城県を代表する企業の一つである総合商社カメイの初代社長のお宅。邸内に掲示を見ていると、1963年の時点で創業60周年記念パーティの様子を撮った写真があった。建築素材や設計など、いまの目からみても贅を尽くした建物。かつて日本石油の社章だった「こうもり」をかたどったふすまの引き手なんて、まるでバットマンのマークだ。 参考:宮城県のwebページ http://www.pref.miyagi.jp/tisin/hustle/hustle_30/forefront/forefront.html そのあとは本日のメインでもあるすし徳さんでの昼食。打ち上げで食べたマグロの数々などが忘れられず、こちらにも再訪となったしだい。 やっぱりもう一度ということで、マグロづくしに上にぎりを頼んだ。マグロ、絶品だなぁ。勢いにのってさらに大トロを追加し、ぞんぶんに堪能した。 仙台にもどって、午後おそくブックカフェ「火星の庭」を訪ねる。 http://www.kaseinoniwa.com/ 昨晩もお会いしたダンナさんが店番をされていた。場所は仙台駅前の中心地の北側。けっこうな広さの店内は、4つほど小さなテーブルのあるカフェ・スペースと、反対側に店内奥までの本棚がつづく。入口すぐに絵本などの児童書から文庫・新書のコーナーがあって、店内奥へ行くにつれて国内外の文学・詩、人文書・評論から映画・趣味などなど、古本全般にわたっている。また児童書とはいえ、置かれているのはどことなく手応えのありそうなもののようで、それは店内に置かれている本全体にも共通して言えるような印象を受けた。 休憩がてらコーヒーなどをいただきつつ、本棚をひとしきりいろいろと眺め、草野大悟『俳優論』なんぞを購入。魚雷さんセレクトの古本棚もあった。 そして夕刻。画家の牧野さんもご推薦である、鉄塔文庫近くにある文化横丁の酒場「源氏」へ。 こちらも昭和の香りが濃厚に残る飲み屋街で、その中でも源氏は狭い路地を入っていってようやく入口。下調べしてきたものの、分かりにくい。でも店に入れば、ほの暗いなかコの字型のカウンターだけの酒場空間。一杯の酒ごとにお通しが付いてくるので、酒の値段は一杯1000円前後。カウンター内を切り盛りするのは着物姿に割烹着の女将さん?一人だけ。 17時に開店してすぐに入ったけど、ほどなく満席に。それでもあくまで話し声は低く、ほの暗い中を皆さん静かに杯を傾けている。ローカル・ルールがあるようだけど、醸し出す雰囲気はこれまでの酒場とも異なっていて、絶妙である。 で、最後はやっぱり、ふたたび鉄塔文庫にお邪魔する。 前日も火星の庭の方や、知り合いだという編集者の方がいたり、この日も隣にいた仙台の映画祭に関わる人と話し込んだりと、面白そうな方々が集ってきていて、飲んでいても楽しい。川村さんに聞くと、これからの展開も構想されてるようだし、来年のB!B!S!もふくめて仙台のこれからが楽しみになってきた。 <<お知らせ>> 鎌倉にある立ち飲み処「ヒグラシ文庫」で、古本Tの本を置かせてもらっています。ハードカバーから新書・文庫まで200冊以上が店内にて販売中。鎌倉へ行かれる際には、ちょっと一杯も兼ねて、ぜひお立ち寄り下さい。また店内には鎌倉にある出版社「港の人」の本も置いてあります。 <ヒグラシ文庫> 鎌倉市小町2-11-11 大谷ビル2F 16:00~23:30(原則 年中無休) JR鎌倉駅より徒歩4分 http://www.facebook.com/higurashibunko
by t-mkM
| 2011-12-28 00:55
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