いつものように、図書館で借りてきた少し前の雑誌から。
今回は文芸誌『新潮』の2012年6月号より、 『ひっ』戌井昭人(中編小説160枚) を読んでみた。 この人の小説を読むのはこれが初めて。 ちなみにググってみると、この作品が今度の芥川賞候補作とのことで、そんな記事がわんさかとひっかかる。鉄割アルバトロスケット、という劇団を主宰していて、芥川賞のノミネートはこれで3度目らしい。 「テキトーに生きたい。脳味噌が邪魔だ。半島の先で人生ドン詰まりのおれは深い穴を掘る。」 これは雑誌の目次(文芸誌によくある見開きの、扱いづらいヤツ)にある紹介文。 仕事をやめてぷらぷらしている「おれ」は、母に頼まれ、急死した伯父で根っからの風来坊「ひっさん」の遺品整理に出向き、庭先で穴を掘っている、という始まりからしてそうなのだが、よくもまあテキトーなエピソードを次からつぎとくりだすものだ、と半ばあきれるくらい。なんだけど、なぜか不思議と「その先」が気になってしまい、最後まで読ませてしまう。そんな「脳味噌が邪魔だ」的な感覚がいっそ心地いい、とでもいえるか。 後半、55歳で急死した「ひっさん」が作曲し、大ヒットした「きまぐれ金魚鉢」という、いかにも昭和のムード歌謡といったような歌詞が出てくるのだが、これがヤケに意味深にひびく。
by t-mkM
| 2012-07-12 01:17
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Comments(2)
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ウリ坊
at 2013-09-23 11:37
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最新作も面白かったです!
新作「すっぽん心中」が出ましたね〜。 芥川賞候補になったこの短篇集は、面白かったです! birthday-energy.co.jp/ ってサイトは戌井さんの本質にまで踏み込んでましたよ。振り返らず前進を続けてほしいものですね。
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t-mkM at 2013-09-25 18:14
ウリ坊さま、コメントありがとうございました。
コンスタントに新作を発表してますよね、戌井昭人氏。このところ、たびたび芥川賞候補になってますが、受賞もそう遠くないか? ご紹介いただいた新作も読んでみます。
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