先日、オフノートのブログ http://ironbridge.exblog.jp/ をひさしぶりに覗いたら、「毎年恒例、オフノート感謝セール2013-14」というエントリがあった。そういえば毎年、この時期になると一括セールをやっていたっけなぁ、とふり返りながらブログにあったCDリストをながめていると、
「・non-6 エル・スール/サイツ ¥2000(税抜き)」 という文字に目が止まる。 「これって、たしか…」と思ってググると、やっぱり以前に読んだ田中啓文のジャズ・ミステリ(?) 『落下する緑』『辛い飴』で紹介されていたCDで、近所の図書館の検索では出てこなかったヤツだったよな、と思い至る。 オフノートのセールは3枚以上買うと定価の20パーセントオフなんだけど、すべて”送料無料”(太っ腹!)ということなので、この際だからと(1枚だけだけど)注文してみた。 ほどなくしてCDが届き、聴いてみたのだが、これがすこぶるイイ。田中啓文氏が強くオススメするだけのことはあって、スタジオ録音とは思えない熱気とライブ感。トロンボーンとベースにドラムという3人だけなのが信じられない表情豊かな演奏で、しかもバンドの一体感というか疾走感とでもいうのか、尋常ではないような気がした。なんだろう、収録された楽曲それ自体の良さなのかなぁ。 ちなみに、サイツ(sights)というバンドは、以下の3人編成。 トロンボーン:大原裕 ベース:船戸博史 ドラム:芳垣安洋 しかし、トロンボーンの大原氏は、残念ながらすでに故人。 大原氏亡き今となっては、田中啓文氏がこのCDに寄せたライナーノートが妙に切なく感じられて、”一度ライブを聴いてみたかった…”という喪失感は募るばかり。あぁ。 もう一つの”収穫”は、 『フランシス子へ』吉本隆明(講談社、2013)。 前にも書いたかもしれないが、ワタクシ自身は吉本隆明氏から影響を受けたワケでもないし、どこがすごいのかいまだに分からないし、そもそも著作をほとんど読んでない。 それでもまあ、マスコミなど世間の方々といっしょ、なんとなく気になる人ではあったので、何げなく手に取った本書ではあったけど、これが思いのほかよかったのであった。 この本、長女のハルノ宵子氏によれば”女子どもの本”だそうで、また編集を担当した瀧氏の書くところによれば、吉本氏の”最後の肉声”となるようである。 だからというワケでもないだろうが、とても読みやすい。字も大きいし、行間もゆったりしているせいもあるけど、語り口がやわらかく、吉本さんの人となりがじんわりと伝わってくるかのよう。 語られることは、長年連れ添った末に亡くなった愛猫フランシス子をふり返って思うことや、ホトトギスはいないのではないか? などという、ちょっとニヤリとさせることから、親鸞のことまで。どれもが、読んでいると沁み入ってくる感じ。とくに、親鸞のことにふれている箇所を読んで、つぎは『最後の親鸞』を読んでみようと思ったのであった。 猫好きの方はもちろんのこと、猫には興味がない人にも一読の価値あり、ですよ。
by t-mkM
| 2013-12-06 01:48
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