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風の旅団・劇中音楽集

このところ聴いたCDのなかで「これは!」と感じたものの1枚。ロックでもジャズでもなく、ボーカルものでもなくて、こんなヤツ。

『オルケスタ・デル・ビエント〜風の旅団・劇中音楽集』(いぬん堂、2003)
 http://inundow.shop-pro.jp/?pid=746903
 (ただし、現在売り切れ中だとか)
ちなみにアマゾンを覗くと、ナント12000円(!)で中古が出ている。

「風の旅団」と言っても、ワタクシも知らなかったし、知っている人のほうが少ないだろうから、CDのライナーで解説を書いている宇田川岳夫という方の文章の冒頭を引いてみる。

 70年代末期という繁栄の中で急速に反動化を強める状況の中で、その政治的先鋭性ゆえに日本「アングラ」演劇史から意図的に抹殺された「芝居集団」曲馬館(79年解散)。そのメンバーであった桜井大造らが82年に旗上げした芝居集団が風の旅団である。
 風の旅団は以下に示すような80年代以降のアンダーグラウンド・ミュージック・シーンの貴重な才能たちに多彩な活動の「場」を提供し続けた。
工藤冬里、故・篠田昌巳、小間慶太。大熊ワタル、西村卓也、久下惠生、木村真哉、関島岳郎、エマーソン北村、中尾勘二が出入りする劇伴音楽隊は、のちにオルケスタ・デル・ビエントへと発展することになる。
(以上、一部省略箇所あり)

収録されているのは全32曲。
とはいえ、どれも1〜3分ほどの短い曲ばかり。もっとも新しい1991年の「進化のテーマ」から始まり、時代を遡っていく構成。録音場所はもっぱらメンバーの自宅や稽古場、公民館。unknownという表記も多々あるのだけど、リマスターを施したのか、録音自体は良好で思いのほかクリアな音で聴くことができる。
そして、クリアに聴けるがゆえに、これらの音楽が実際に芝居で使われていた場面を、ぜひとも観たかったよなぁ。もはや適わない思いだけど。

CDのライナーにはもう一人、F.M.N.sound factoryの石橋正二郎という人も寄稿していて、その中に故・篠田昌巳による「うまい人と一緒にやってちゃんと出来るのは当たり前だし嬉しいけれど、うまくいきそうにない人達と一緒にやってうまくいくと、スゴイ楽しいんだよね。」というコトバが引かれている。
その当時、関係者のなかでどういうやりとりがなされていたのか、その一端がしみじみと伺えるようだ。
by t-mkM | 2014-03-19 01:24 | Trackback | Comments(0)


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