このところ、かんから(K)が図書館から借りてきた分厚い本をずっと読みふけっていた。
で先日、ようやく読み終わったのかと思いきや、「面白いからぜひ読め!すぐ読め!」と強くすすめるのである。 『ソロモンの偽証 全三部作』宮部みゆき(新潮社、2012) 3冊の副題はそれぞれ「第1部 事件 第2部 決意 第3部 法廷」。 出版社公式サイト→ http://www.shinchosha.co.jp/solomon/ 各巻が700ページを超えているので、トータルにして2000ページをゆうに超える分量。 なんでも、構想15年、雑誌連載9年にしてようやく完結したという、”著者の作家生活を代表する長編現代ミステリー”だとか。 すでに「このミス」や「週刊文春ミステリーベスト10」にもランキングされており(それぞれ2位)、書評やら感想などもあちこちで書かれているし、さらに来年は映画公開が控えて公開オーディションとかで盛り上がっているので、いまさらこの辺境ブログで触れることはないんであるけど、まあ備忘録として。 なにせ長いので、ストーリーを紹介するだけでもナンなのであるが、アマゾンにある紹介はあんまりなので、以下は日本経済新聞のサイトにある、書評家・池上冬樹氏による書評より冒頭部分だけを引用。 http://www.nikkei.com/article/DGXDZO48541980X11C12A1MZB001/
「起承転結」で言えば、主役の女子生徒が学校内裁判をやる!、と決意するまでの第1部が「起」に。その第1部で風呂敷を広げまくったまま、裁判の準備をすすめていく過程を描く第2部は「承」。そして第3部の、広げた風呂敷をさらにバサバサさせながら、はりめぐらせた伏線を回収していく”法廷”の場面は「転・結」にあたるだろうか。 中学生による刑事裁判、しかも殺人罪でクラスメイトを起訴し、調査も何もかもがすべて中学生が行っての裁判。 こう書くだけだと、さすがに荒唐無稽だと感じるし、現実味が薄いのでは? と思ってしまう向きも致し方ない。雑誌連載時に『ソロモンの偽証』をチラチラと横見していた身としても、実際そんな風に思っていたし。ネットを見ても、大人顔負けで検事役や弁護士役をやる”スーパー中学生”にリアリティが無いとか、おかげで最後まで読めなかったとか、いろいろ書かれてますが。 …だけども。 まあ「すぐ読め!」と言われたからではないんだけど、いやもうこの1週間、『ソロモンの偽証』にどっぷりと浸っていた。これまでにもうならされてきた著者の小説は多々あれど、いまさらながら”宮部みゆき”という作家のストーリーテラーぶりに、登場人物を紙面から立ち上がらせる描写の豪腕ぶりに、圧倒されまくりであった。 携帯電話の無かった、そしてバブル最終盤であった90年という時代も、中学生が主役の裁判という設定も、読み終わってみれば分かる気がするし。 また読んでいて感じたのは、これは『模倣犯』への返歌というか、著者自身による”応答”なのかな、ということ。 それと、中盤の展開にくらべてラストが意外なほどあっさりしているのは、連載が長きにわたったので(結末を)急いだもあるのかしらん。 裁判という制度をどう捉えるかなど、思うところは様々にあれど、またおいおいと。 ま、長大な本作を一気に読んだので、来年の映画公開を楽しみに待てることになったのは確か。
by t-mkM
| 2014-06-27 01:41
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