このところ、スタンリー・キューブリック監督の映画を観る機会がつづいている。
『インターステラ−』に触発されて再見した『2001年宇宙の旅』から始まり、ブログには書いてないけど、この夏に早稲田松竹で上映していた『博士の異常な愛情』『時計仕掛けのオレンジ』の2本立て、そして今さらではあるけど先日、『フルメタル・ジャケット』を初めてDVDで観た。 公開は1987年。 いまからふり返れば、そのころはベトナム戦争を描いた映画がちょっとしたブームだったようで、オリバー・ストーン監督の『プラトーン』も同時期の公開。両手をあげ、上を向いてくずおれる兵士のシーンがインパクト強烈で、映画館に観に行った覚えがある。 でも、なぜだか『フルメタル・ジャケット』の方は、これまで観たことがなかった。 『フルメタル・ジャケット』はトータルで2時間弱だが、大きく前半と後半に分かれる。 前半、公開当時も話題になっていたように記憶するけど、米軍・海兵隊の訓練所における凄まじいまでの実態が描かれる。とりわけ、鬼教官が速射砲のようにまくしたてる罵詈雑言というか、訓練生に向けて発せられる言葉がスゴイ、というかヒドイ。よくまあ翻訳して字幕に載せたと思うけど、どうやらキューブリック監督がじきじきに日本語訳をチェックしたとか。 そして後半、海兵隊員としてベトナムに送られた彼らの中で、報道部員となったジョーカー(主役のひとり)が同期のカウボーイと再会し、彼の小隊とともに行軍していく様が描かれる。後半のロケ地はイギリスのようで、セットを組んだらしいが、”よくまあここまでやるよなぁ”的な徹底したもの。 前半と後半とがあまりリンクしてないかのように見えるけど、見終わってみれば、前半の罵詈雑言が満載の訓練シーンが、不思議と印象深く思い返される。まあ、前半の方がキューブリックらしいとも言えるかな。 また、コッポラ監督の『地獄の黙示録』とも通底するようなところもあり、キューブリック監督は『地獄の黙示録』をけっこう意識して『フルメタル・ジャケット』を撮ったんじゃないかとも感じた。 細かいところはいろいろとあるんだけど、ひとつだけ「ほぉ」と思ったブログを見つけたので、リンクしておく。 ブログ<早大生のポイント映画感想文>から 『フルメタル・ジャケット』の種明かし http://ameblo.jp/kssk8040/entry-10539205508.html 映画のラストシーンに関する考察。 前半で、「ユングが云々」というセリフが出てくるけど、それと呼応するシーンとして観ることもできるかも。 ともあれ、繰り返し観るに耐える映画を作り続けたという意味で、キューブリック監督のスゴさを再認識したしだい。
by t-mkM
| 2015-09-16 01:15
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