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重厚長大、過剰で饒舌な『エンジェルメイカー』を堪能

ポケミスサイズとはいえ、2段組で700ページ超!
ハヤカワ・ポケミス史上、もっとも分厚いとのことだけど、ポケミスにして2800円。正直、もし図書館がなかったとしたら、ちょっと手が出なかった作品ではあるかなぁ。

『エンジェルメイカー』ニック・ハーカウェイ/黒原敏行訳(ハヤカワ・ポケミス、2015)

たしかにこれだけ分厚いと、寝ながらでは重いし、人間工学的?に読みづらい。とはいえ、そのぶっ飛んでハッチャケている展開は、ストレートに面白い。
以下はアマゾンの紹介文。

大物ギャングの息子として生まれたジョー・スポークは、時計じかけを専門とする機械職人として静かに暮らしていた。しかし、彼が謎の機械を修理した日にすべてが変わった。客の老婦人は引退したシークレット・エージェント、謎の機械は第二次世界大戦直後に開発された最終兵器の鍵だったのだ! そしてさまざまな思惑を持つ人々がジョーの周囲で暗躍をはじめた……愛する者を悪の手から守り、世界を滅亡から救うため、ジョーは父の銃を手に立ち上がる! 笑いと切ない抒情に満ちた傑作エンターテイメント・ミステリ

ミステリというよりも、SFというか冒険活劇とも言えるか。解説ではピカレスク小説の系譜、とも書かれていたけど、まあジャンル分け不能の長大なるエンタメである。
よくもまあ、これだけのキャラクターや大道具・小道具を想像し、それらのキャラを縦横に動かしながら、奇天烈な物語をこれでもかと展開するものであるよなぁ。このストーリーテリングというか、お腹いっぱいになるかの過剰なる饒舌ぶりには、久しぶりに”物語る”ということの醍醐味、ストーリーに身をゆだねて読み続ける快楽を感じた。
(感想にもなってないけど、なんだかえらい小説を読んだ、という記録としてメモ)

この著者、スパイ小説の巨匠、ジョン・ル・カレの息子とのことだけど、なんというか、ストーリーの操り具合は”さもありなん感”がある。
つぎは前作、『世界が終わってしまったあとの世界で』にも手を伸ばそうかと。
by t-mkM | 2015-11-20 00:56 | Trackback | Comments(0)


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