石原吉郎という人

先日、図書館で見かけて興味をひかれたので、借りだして読んでみた。

『証言と抒情 詩人石原吉郎と私たち』野村喜和夫(白水社、2015)

シベリア強制収容所の極限状況を経験し、生の根底を厳しく問い続けた詩人・石原吉郎。3・11後、私たちをひきつけてやまない石原の言葉に、シベリア抑留者の父をもつ気鋭の詩人が迫り、痛苦の経験が美になる瞬間をとらえた渾身の書き下ろし!

上はアマゾンに載っている、短いほうの内容紹介から。

石原吉郎。
先の戦争後、旧ソ連のシベリア強制収容所(ラーゲリ)送りとなり、過酷な体験の後に帰国。その後で詩人として出発し、70年代に一定のブームがあった詩人。
と、こんなところは知識としては知っていたし、興味もあったけれど、石原の詩も散文も、ほとんど読んだことは無い。誰だかの本に出てきた引用などで目にしたくらいか。

昨年2015年は石原吉郎生誕100年だったそうで、本書以外にも本格的は評伝がこのところいくつか出版されているようである。東日本大震災後の状況を経て、ふたたび注目されている、といったところか。

極寒シベリアでの強制収容所の体験を経て、ようやく帰国したものの、故郷に戻ってみれば「赤帰り」ということで周囲の目は冷たく、拒絶された…。いろんな理由はあるんだろうけど、これはなかなかに辛く厳しい経験だ。
アマゾンの、より詳しい内容紹介には、

…後年、シベリアでの経験をエッセイとして発表することで、多くの人々の共感を呼ぶこととなった。これまで石原は、おもにエッセイによる証言をもとに理解され、論じられてきた。だが、石原は本来詩人である。石原にとっての詩とは何だったのか。エッセイ執筆つまりは証言が詩人にどんな影響を及ぼしたのか。…

とあって、本書ではその視点での読み込みがなされていく。
石原は62歳で亡くなっており、いわば自殺に近いような亡くなり方だったようである。シベリアでの体験による後遺症なのか、机に向かっていることがなかなかできず、詩作は散歩をしながらほとんどを頭のなかで"書き終えて"いたとか。そして、エッセイを書くようになったことが、後年の石原にラーゲリでの記憶を呼び覚ますことになったのではないか、とある。とにかく、「書けないときは、墓石に頭をぶつけながら考えたこともある」みたいなことをしていたそうで、その懊悩が寿命を縮めたのかもしれない、ともある。

ちょっと、いまだに感想がまとまらないけれど、これを機に、石原の詩やエッセイにもちゃんと向き合ってみようかと思っている。
[PR]
by t-mkM | 2016-05-13 00:50 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://tmasasa.exblog.jp/tb/25791350
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 水族館劇場 三重・東日寺での野... 月村了衛の2冊 >>