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水族館劇場の東京報告会へ行ってきた

先週末、都知事選の前日であった7月30日(土)夜は、南青山へ。
水族館劇場が、5月に三重・芸濃町で行った公演に来られなかった東京のファンのために、と開催した「東京報告会」である。

30日は南青山のデザイン事務所、31日は目黒の古本屋が会場で、それぞれに内容は異なっている。参加した30日の内容はと言うと、以下、公式サイトのインフォメーションから。
http://suizokukangekijou.com/news/

まず舞台のダイジェスト版の上映。地元制作を担当した伊藤裕作さんをむかえ千代次と中原が、公演の意味を解く。つぎに博多から造形作家津田三朗さんが、トポスとしての仮設小屋論を。まとめに、さすらい姉妹の演出を担当する毛利嘉孝東京芸大准教授と、『地域アート 美学 制度 日本』を上梓した藤田直哉さんを迎え、編集者長瀬千雅の司会で桃山との鼎談が実現。現代美術の動向を参照しながら地域芝居の問題と可能性をあぶりだす。

18時に開演。
しかし、まだ外が明るいため、ダイジェストの上映は後にして、伊藤さん、千代次さん、中原さんの対談からスタート。今日のテーマでもある地域興しに関連して、千代次さんのいつもながら一本ビシッと芯の通った発言が、印象に残る。

つづいて今回の舞台のダイジェスト上映。じっさいの舞台におけるダイナミズムの片鱗はうかがえるものの、初めて見た人にはなんだか分からないだろうなぁ。今回の目玉?と思われる、池から竜が浮上するところなど、まったく竜だとは分からず。うーん、ちょっと残念。

そして津田さんの話。fishboneにも「特権的劇場論」と題した長文を書かれているためか、込み入った(と推測される)テーマをよどみなく話されることに、ちょっと驚かされる。披露されるエピソードの数々も興味深くて、津田さんのこれまでの仕事といまの立ち位置をあらためて認識させられた感じ。

クッションが敷いてあるとは言え、床に直座りなので、この辺ですでにケツが痛くて下半身が難儀だったけど、メインはここからという感じで、最後は桃山さん、藤田さん、毛利さんによる鼎談。
面白かったのは、SF・文芸評論家という肩書きで紹介された藤田さんの発言。83年生まれとのことだけど、中高生のときから68年的なあれこれに興味があったらしく、でも東京に出てきたら68年的なものはすでに無いことに気づかされたのだとか。その藤田さんが語る地域アート、町興し的なものに対するぶっちゃけトーク、それを受けて桃山さんが語る"なぜ自治体の助成を受けないか"など、これまで断片的に耳にしてきた水族館劇場のスタンスを、あらためて別角度から光を当てて語り直されたようで、面白かった。勢いで、藤田さんの出された『地域アート 美学 制度 日本』も買ってしまったくらい。

この東京報告会のチラシには、来年に「完全版 この世のような夢」を東京で公演、とあるけど、これから水族館劇場はどこへ進んでいくのか。楽しみである。
by t-mkM | 2016-08-04 01:41 | Trackback | Comments(0)


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