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今さらながら、本屋大賞受賞作を読む

今年になって初めての神保町詣に行ったとき、田村書店の百均箱=タテキンで目について、拾ってきたもの。

『羊と鋼の森』宮下奈都(文藝春秋、2015)

昨年の本屋大賞受賞作であり、直木賞にもノミネートされた小説で、けっこう話題にもなったし、さらには映画化もされるようである。そんなわけなので、いまさらこの辺境ブログでとりあげることもないのだけど、読んでみたらけっこう良かったので。
以下はアマゾンの内容紹介から。
ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。
ま、「静謐」とまではいかないまでも、つねに落ち着いた温かさをたたえながら、調律師として独り立ちしていく主人公の姿を、ときにユーモアも交えて丁寧に描いている。ラストでのオチも、なかなかシャレていて、微笑ましいと思えたし。

ただまあ、「いい人ばっかりで悪いヤツは出てこない小説」ではあるので、物語としてはいまひとつ物足りない感じは否めないように思う。でも本屋大賞って、「イイ小説なんだけど光が当たらない作品を盛り上げよう」ってな趣旨で始まったように思うので、その意味では、ひさしぶりに本屋大賞にふさわしい作品が選ばれた、と言えるのではないだろうか。

一方、音楽の専門家などからは、用語の使い方が正しくないとか、掘り下げが浅いなどの批判があるらしい。アマゾンのレビューを見ても、星5つが最多ながら、星1つというのもけっこう目立つし。その分野に精通している人であるほど、正確ではない描写が頻発するとゲンナリしてくるものだろう。

それでも、調律師という仕事の奥深さ、ひいては、プロとしてクライアントにどう対応し、どこまで仕事を深めることが望ましいのか(求められているのか)、といった事は、調律のみならず、どの仕事にも通じるものではあろう。フツーの日常、そしてどんな仕事でも時々はぶつかるであろう、そんな疑問に対して、あれこれ迷いながらも答えを出して進んでいく。そんなところが、この小説が広く受け入れられたひとつの(大きな)要素なんだろうと思えた。


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by t-mkM | 2017-01-17 01:48 | Trackback | Comments(0)
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