近況:最近の2冊

年度末あたりからこっち、いつになく仕事が立て込んでおり、この駄ブログを更新する機会がなかなか持てないでいる。

とりあえずはブログ冒頭で告知しているけど、4月1日、ひさしぶりに鎌倉のヒグラシ文庫へ行って、精算と本の補充をしてきた。売れ行きはまずまずといったところ。ひところよりは落ちてはいるものの、コンスタントに売れているようではあり、ひとまずは何より。

そして、今週末の4月14日(金)からは、新宿・花園神社で水族館劇場の本公演がある。
バタバタしているせいで、舞台設営の様子も見に行けてないんだけど、どんな芝居を見せてくれるのか、楽しみである。
http://suizokukangekijou.com/information/

で、最近読んだ本から。
まずは、『QJKJQ』佐藤究(講談社、2016)。
以下はアマゾンの内容紹介から。

市野亜李亜(いちのありあ)は十七歳の女子高生。猟奇殺人鬼の一家で育ち、彼女自身もスタッグナイフで人を刺し殺す。猟奇殺人の秘密を共有しながら一家はひっそりと暮らしていたが、ある日、亜李亜は部屋で惨殺された兄を発見する。その直後、母の姿も消える。亜李亜は残った父に疑いの目を向けるが、一家には更なる秘密があった。
「平成のドグラ・マグラ」
「ものすごい衝撃を受けた」
選考委員たちにそう言わしめた、第62回江戸川乱歩賞受賞作。


この紹介文を目にしただけで引いてしまう人もけっこういるのでは? と想像するけど、文章はじつにこなれて読みやすく、ページをめくらせるチカラがある。この著者は、群像新人賞の受賞者でもあるそうで、乱歩賞のwebサイトにある受賞のことばは、なかなかだ。

で、結局面白いのか? と言われると、もちろん面白い。それも、けっこう面白く読んだ。
ただ、本の後ろに収録されている選評にもあったけど、新しいのか? と言われるとそうでもないように思うし、「平成のドグラマグラ」というほどの迷宮感はあまり感じられない気がした。
それでも、本の装幀とともに、インパクトはある。
(そして、説明のつけられ方のその奥には、じつはまだなにかが隠れているのでは? と感じたりするのだが、どうなんだろうか)

もう1冊は、『シンドローム』佐藤哲也(福音館書店、2015)。
以下は版元である福音館書店のwebサイトにある紹介文。

八幡山に落下し、深く巨大な穴を残して消えた謎の火球。ほどなくして、ぼくの住む町のあちこちで、大規模な陥没が起こる。破滅の気配がする。それでもぼくは、中間試験のことが、そして、久保田との距離が気になって仕方がない。ゆるやかに彼女と距離を縮めながら、この状況を制御し、迷妄を乗りこなそうとしている。静かに迫る危機を前に、高校生のぼくが送る日々を圧倒的なリアリティで描く、未だかつてない青春小説。

「ボクラノSFシリーズ」の一冊。なんでも、数年に一冊程度のペース(!)でしかシリーズ新刊が出ていないらしい。
福音館書店というと、下は児童書から上でも中高生向けという勝手な印象が強いのだが、いやいやどうして、まったくそんなことはない。少なくとも、本書は十分に大人の読書に耐えて、おつりが来るくらいだ。

紹介文にもあるように、ジャンルでくくれば"青春小説"の範疇にも入るのだろうけど、パニックものとの融合され具合に、引きつけられて読み出すと止まらない。
日常からしだいに逸脱していく日々のなか、天変地異と言っていいほどの事態が起こっても、過剰な自意識のほとばしりがやまない、主人公の若者が繰り広げる"脳内自己対話"が印象的で、どこか可笑しくも、他人事とは思えない気もしてくる。

そして秀逸なのは、本の装幀もさることながら、本文中の文の組み方。
物語のなかで学校が陥没してしまうのだが、そうした陥没よろしく、ストーリーが進むにつれて段組もしだいに"陥没"していくのである。会話文でも同じ字数がずっと続いたりと、じつに凝った文字?作り。これはもう、イラストとも併せて、実物を味わってもらうしかない。

そんなこんなで、今年前半における収穫の一冊。


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by t-mkM | 2017-04-13 01:15 | Trackback | Comments(0)
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