水族館劇場の花園神社での公演、2回目の観劇は4月21日(金)。
水族館劇場 初日に観たとき、顔見せであるプロローグはどこかぎこちなく、テントの舞台では試行錯誤感とでもいうものを、率直に言って感じた。けれど、この日の芝居ではそうした、?と感じて突っかかる箇所、はほとんど影をひそめ、全体に締まりがあり、格段に洗練?された舞台に変化していた。とりわけ、初日のプロローグでは後方上部にあってほとんど見えなかった(もったいない!)複葉機が、より前面に出て、強烈な存在感をラストで示したのは圧巻。ここでまずは"やられた感"があった。 一幕目のラストで立ち上る龍は、照明位置の変化が奏功してか、客席に噛みつかんばかりの迫力だったし、二幕目が開いたときには客席からどよめきが起こるほど、舞台セットの造形や照明効果はスバらしかった。(総じてこの日、初めての客が多かったのか、客席のテンションは高かった) ただ、この日ご一緒した方によると、「以前の三軒茶屋公演と比べると、ちょっと、物語に入っていきにくかったかなぁ」とのこと。基本的なストーリーは去年の三重公演を前提にしているので、そういうところもあるかもしれない。 ちなみに、今回の新宿・花園公演に関して、参考になったブログ記事を見つけたので紹介を。 crosstalkという方の「ワニ狩り連絡帳」というブログにある以下のエントリ。 [演劇]水族館劇場「この丗のような夢」桃山邑:作・演出 @新宿 花園神社境内特設野外舞臺「黒翁のまぼろし」 http://d.hatena.ne.jp/crosstalk/20170422/p1 そこから中心部分を引用する。 今回のストーリーの根幹は、どうやら江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」。というか、ほとんどまんま「パノラマ島奇談」な進行なのだけれども、それらのストーリーはセリフの語りで説明されていくばかりで、せっかくの舞台装置がストーリー展開に活かされていたという感じではない。あと、看板役者の千代次や風兄宇内らを出さなければいけないという制約からか、そのメインストーリーにほとんど絡むことのないサブストーリーで彼女らが出てくるわけだけれども、けっきょく観終わって、「あれ?千代次や風兄宇内はけっきょく何だったの?」みたいにもなる。というか、終わってしまえばけっきょくすべてが「何だったの?」ということでもあるのだけれども。 この方が言うように、テントに入ってからの舞台では、冒頭で千代次さんと風兄さんによるやや説明的なセリフの応酬がつづき、ちょっともったいない感じではある。 また、21日で舞台でも、セリフの飛んでしまった役者に対して、他の登場人物たちが(これはこれで見事に)セリフを教示するシーンがあったけど、まさしく演劇的鍛錬からはほど遠い。というか、フツーの舞台の約束ごとからは、外れまくっている。 でもじゃあ、なぜ、そういった舞台を観に行きたくなるのか? しかも、何度も。 その点、上のブログ主は、こんなことを書いている。 …そういう舞台装置の中から立ち上がるスペクタクル。その中にどこか、「水族館劇場」の目指す「反近代」とでもいうような視点が透けて見えてくる。そこにこそ「水族館劇場」の魅力があり、… 昨年の三重・芸濃町での公演の感想を書いたエントリで、ワタクシは最後にこんなことを書いた。 「桃山さんとしてある意味での開き直りというか、覚悟のようなものが感じられた…」 http://tmasasa.exblog.jp/25814537/ 今回は、その開き直りが新たなphaseに入ったようでもあることを感じたし、何より、劇団がことあるごとに"野戦攻城"を連呼し、"渾身の舞台"を強調する、そのワケが、あらためて腑に落ちた気がした。 長くなったので、この辺で。
by t-mkM
| 2017-04-27 01:49
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