久しぶりに自宅にてDVD鑑賞。
Kが「傑作」だと言ってて、もう一度観てみたいともいうので借りてきた。 『ヒメノア~ル』監督: 吉田恵輔 (日活、2016年公開) 公式サイト→http://www.himeanole-movie.com/ そして以下は「映画.com」http://eiga.com/movie/82031/ の解説から。 「行け!稲中卓球部」「ヒミズ」の古谷実による同名コミックを、「V6」の森田剛主演で実写映画化。森田が、次々と殺人を重ねていく主人公の快楽殺人犯・森田正一役を演じ、「純喫茶磯辺」「銀の匙 Silver Spoon」などを手がけた吉田恵輔監督がメガホンをとった。平凡な毎日に焦りを感じながら、ビルの清掃のパートタイマーとして働いている岡田は、同僚の安藤から思いを寄せるカフェの店員ユカとの恋のキューピッド役を頼まれる。ユカが働くカフェで、高校時代に過酷ないじめに遭っていた同級生の森田正一と再会する岡田だったが、ユカから彼女が森田にストーキングをされている事実を知らされる。岡田役を濱田岳、ユカ役を佐津川愛美、安藤役をムロツヨシがそれぞれ演じる。 いやぁ、何というか…。 "シリアルキラー"とすら呼べない、ほとんどなりゆきで殺人を続ける主人公を演じる森田剛、彼の演技が、これがもうスゴイの一言。 R-15指定ではあるけど、大人であってもなかには受け付けない方もいるのでは? それほどに、彼の演じる主人公が内面で抱えているであろう、虚無というか絶望が滲み出たかのような虚ろな表情や狂ったような殺人のシーンは、いやでも目に焼き付く。 とはいえ、この監督も、そして森田剛含め出演している役者たちも、ほとんど知らないのだけど、エンタメ映画として、とってもよく出来ている。 森田剛のスゴさが強烈なんだけど、ほかの役者たちがいずれも上手いし、役どころにハマっている。そして100分という短めにまとめたこともあってか、(内容とは裏腹に?)スタイリッシュとすら言えると思う。 前半の、気恥ずかしいような会話が交わされる日常の描写から一転、不穏な音楽が流れ出して唐突にタイトルが現れて、後半へ。前半のトーンとはガラッと変わり、様々に登場人物たちが絡まりあいながら、しだいに主人公とも交錯し、その暴走に巻き込まれていく...。 そしてラスト。 この辺は原作とは違うらしく、そこが不満という感想も目にしたけど、このラストでの主人公の変貌ぶりも強ーく印象に残る。原作を知らない身としては、このラストシーンがあってこそ、落語でいうサゲの格好がついたというか、エンタメ映画として(ストライクゾーンの狭いと思われる)着地が決まったように感じられた。 また、公式サイトだったかの解説に「捕食者と被食者。」とあったけど、映画で描かれるせまい人間関係のなかで、その「捕食者と被食者」の関係が入れ替わるように描かれるのも、興味深かった。 でも、この映画、昨年のキネ旬ベストテンには顔を出してない。選者で観た人が少なかったからか? 「傑作!」と言い切るのには、ちょっと戸惑うけど、「必見」ではあると思うのだが。
by t-mkM
| 2017-05-25 01:27
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