じわじわくる映画『メッセージ』

日曜日、ひさしぶりにロードショーの映画を観に行った。

『メッセージ』監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ(原題「ARRIVAL」、2016)
公式サイト → http://www.message-movie.jp/

原作は、ベストSFランキングの類いでは必ず上位に顔を出す、テッド・チャン『あなたの人生の物語』という短編。知ってはいるけど、まだ読んだことはない。
ネット上で映画評論家の人が、「これまでのSF映画のなかでも画期をなす作品」みたいな絶賛レビューを書いており、「へぇ、それなら」と、観てみる気になったのだ。TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞。そう広くない劇場ではあったけど、けっこう入っていたな。
ストーリーを記せば以下のとおり。

突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。
(以上、公式サイトより)


眠くなるか、なんて思ったけど、まったくそんなことはなくて、最後まで画面に引きつけられていた。
で、引きつけられてはいたけれど、最後に「ARRIVAL」のタイトルが現れて「はぁ、なるほど…」とは感じたものの、もやもやとした疑問がアタマに残りつづけ、釈然としない気分がある。ちなみに、エンドロールがはじまると、すぐに席を立って帰る客が一定数いて、「最近じゃめずらしいかも」とちょっと思ったりしたけど、たぶん似たよう消化不良感を抱えていたんだろうなぁ。

言ってみれば「ファースト・コンタクト」ものの一変種。
ただ、その「コンタクト」を媒介するのが、映像化しにくいと推測される「言語」である、というところと、現実世界の状況がわりとリアルに(というか身もフタもなく)ストーリーに反映されているのがミソ、かな。

映画のなかでとくに印象的だったのは、ヨハン・ヨハンソンによる音楽と、それに響き合うかのように繰り返し描写される、彼らエイリアンの発する"言葉"、というか"文字"。あんまり詳しく書けないけど、円環をなすかのような、まるで墨絵みたいな文字で、表義文字、という分類になるらしい。この円環をなす、という文字のビジュアルが、キーとなる人物の名前や、映画自体のやや込み入ったストーリーとも絡まるところがある、とも言える。

冒頭から何度もフラッシュバックする主人公とその娘との交流シーンと、エイリアンの出現に混乱しつつもコミュニケーションをはかろうとする各国の努力にも関わらず、結局は暴力へと転化せざるを得ないような社会の現実とせめぎ合うメインのストーリーが、ラストで交錯することになる場面での驚きと含意は、なかなか言い表すことができない。ハッピーエンドか、バッドエンドかを超えて、むしろ見終わってからのほうが、その意味を考え続け、じわじわくる気がしている。

エンディングが分かった上で、さらには原作も読んでから観ると、また異なった印象になるのかも。ともあれ、ぜひまた再見したい。



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by t-mkM | 2017-06-21 01:00 | Trackback | Comments(0)
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