あらためて須賀敦子の文章に

行きつけの図書館で、「借りたいものがないよなぁ」とウロウロしていて目にとまったので、借りてみた。

『コルシア書店の仲間たち』須賀敦子(白水uブックス、2001)

ミラノの大聖堂の近く、サン・カルロ教会の軒先を借りるようにして作られた一軒の小さな本屋があった。その名はコルシア・デイ・セルヴィ書店、貧しくも生きることに真摯な人々が集う心やすまる出会いの場所だった。

(以上はアマゾンの内容紹介より)

読書記録(いちおう付けてはいるのだ)をみると、じつは20年くらい前に彼女のエッセイを読んではいた。が、あまり印象に残っていない。当時、須賀敦子がつぎつぎと出すエッセイが話題になっていたころだったかと思うのだが。

著者は1998年に死去。作家としての活動期間は晩年の10年未満ほどだったものの、すでに全集も出ていて、名文家としての世評も確固とした作家の代表作(と言っていいのだろう)のエッセイである。
そんな著作を、寝しなにちびちびと読んでいて、「いやぁ、うまいなぁ。沁みるなぁ」とつくづく思ったのである。もちろん、「何をいまさら言ってんだ」なわけだけど、個人的には須賀敦子を再発見した、という感じ。(ホントに、何をいまさら、だな)

ごく平易な文章であるけど、若かりしころに暮らしたミラノ、そしてコルシア書店に集う、ちょっと癖のある人々を回想して綴る文章が、まるでついこの間のような感じで描かれる。それでいて、長年の時を経て熟成したとでもいうか、ミラノの街角の描写はもとより、登場人物たちと著者とをめぐる葛藤や共感などの描写のいちいちが、沁みてくる。ウマい。名文家つかまえて「ウマい」なんて、おこがましいにもほどがある、のだけど、しかたがない。適切な言葉が浮かんでこない。

まあ、年を取らないと分からないこともある、ということか。


[PR]
by t-mkM | 2017-07-26 00:52 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://tmasasa.exblog.jp/tb/27011233
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 少し前に出た雑誌から 携帯電話のトラブル顛末 >>