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古書店主の本

ちょっと前のはなしになるけど、千駄木にある「古書ほうろう」で
こんなイベントがあった。
[四つ手網座談会]
このイベントのことはチラシなどで見ていたけれど、この日録を読むまで、すっかり忘れていた。それにしても、古書店主それぞれの話しは面白そうだ。聞きたかったなぁ。
(ほうろうさんにもご無沙汰してます)

別にこのイベントに触発されたわけではないけれど、このところ古書店主の書いた本を続けて読んだ。




『古本屋 月ノ輪書林』高橋徹(晶文社)

『石神井書林 日録』内堀弘(晶文社)


お二方ともその世界では著名な古書店主。

上で書いた古書ほうろうのイベントでのゲストでもある。
このふたつの古書店に共通しているのは、店舗売りはしておらず、目録販売だけということ。さらにお二人とも、山口昌男、坪内祐三といった方々とは「東京外骨語大学」で、教師と学生という関係でもあるらしい。

どちらの本も、古書店主の喜怒哀楽に満ちた?日々をつづった日録。古書目録作りや市場での入札にかけるエネルギーの大きさがひしひしと伝わって来る。とくに月ノ輪書林さん。目録作りに没頭する姿もさることながら、そのために(いまどき?)何日間も風呂に入らない、という入れ込みようなのだ。

また、有名人から無名の方まで、活字に名をとどめる昔の人々の交流を空想(妄想か)していく箇所なども、「これぞ目録作りの醍醐味!」といった感じに溢れていて、古本に埋もれながらも楽しんでいる姿が見えるようだ。

以下は内堀さんの本から引用。

 最近は古本屋にもビジネスなどと似合わない言葉が被せられてマスコミねたになったりもするが、もともと、この仕事は「目指してなる」という野暮なものでなくて、「気がついたらなっていた」。そういうものだった。達成感とはいわないが、到着感というものはあって、だからここから先に行く人はあまりいない。脱サラ、編集者くずれ、役者くずれというのはあっても「古本屋くずれ」はない。もうこれ以上崩れない場所らしいのだ。
(p124)

達成感、ではなくて到着感。
なんとなく納得?
by t-mkM | 2006-05-22 10:57 | Trackback | Comments(0)


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