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モームの新訳

ずいぶんと久しぶりに「岩波文庫」なんぞを手に取りました。
『サミング・アップ』モーム(岩波文庫)
劇作家であり、小説家でもあるサマセット・モームが、晩年、自身の生涯を締めくくるようにして綴った回想的なエッセイ集の、新訳です。


サマセット・モームといえば、二十世紀の前半を代表するような作家であって、ワタクシでももちろん名前くらいは知ってはいます。でも、作品を読むのはこれが初めて。

訳者の行方昭夫による巻末の解説によれば、1950年代のころは大学や予備校の英語のテキストにモームの文章がよく使われていて、この『サミング・アップ』からもよく出題されたとのこと。このころからしばらくの間、モームの本はある種のブームだったらしいです。

まだ途中までしか読んでいなのですが、この本には回想録的な部分もあって、正直なところ、モームの著作を読んだことがないワタクシにはそうした箇所はちょっと退屈です。でも、モームの明快な文によって紡がれる文章論、独特の人生観を獲得する過程、読書論、演劇論、役者や観客に対する見方、などなどは、ストレートでありながらどこか屈折感も感じられて、不思議と印象に残ります。

いやー、モームの本がこんなに面白いとは。
意外な(といってはまったくもって失礼ですが)収穫です。

たまには岩波文庫もチェックしないと、ですね。
by t-mkM | 2007-03-23 23:55 | Trackback | Comments(0)


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