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角川の新しい新書から、『フラガール』を支えた映画ファンドのスゴい仕組み

新書の創刊ブームはまだ続いているようですね。
今月に入ってから、大手である角川書店から「角川SSC新書」が創刊されました。まとまって平積みで置かれていると、なかなか目立つ色の表紙です。角川からはすでに「ONEテーマ21新書」というのが出てますが、競合しないでうまく棲み分けできるのでしょうか?

さて、この創刊された新書のうち、タイトルに惹かれて読んでみたのは、
『『フラガール』を支えた映画ファンドのスゴい仕組み』岩崎明彦(角川SSC新書)


昨年ヒットした『フラガール』。この作品の資金調達には映画ファンドという手法が使われていて、このファンド作成に関わったのが本書の著者。しかも集めた金額は日本映画史上空前の規模である45億円というからスゴイです。(ま、『フラガール』だけじゃなく、シネカノン制作の20作品に対して45億円を出資するファンド、ということなのですが)

言うまでもなく、エンタメ業界の場合、何がヒットするか事前に予測することはかなり難しい。それゆえ、一つひとつの作品に対して投資するのでは、リスクが高い。そのリスクを分散し、映画界に無理なく資金が入って来やすい構造を作り、ビジネスとしていかに業界を活性化させるのか。
その有力な方策が、映画ファンド、ということのようです。

著者は「金融とエンターテイメントの融合」と書いていますが、少数の大口スポンサーの意向に左右されず、作り手が(人材の育成も含めて)映画制作に専念できる環境を作るという点では、なかなか面白そうな試みだと思います。
「ファンド」というと、なんだか胡散臭く、”濡れ手に粟”といった印象を受けますが(ワタシだけ?)、この本を読んでいると、金融商品というのものを勉強して投資してみるのもいいかも、という気になります。
また、ファンドのことだけでなく、映画業界の裏側のことも書かれているので、映画ファンにも面白く読める本です。

ただ、エクセルで作ったものをそのまま載せたような、いかにもお粗末なグラフや表があるのには興ざめ。新書ブームに乗った、「粗製」という印象を持ってしまいますが、どうなのでしょう...。
by t-mkM | 2007-10-24 23:40 | Trackback | Comments(0)


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