2日の土曜日は、午後から武田シンポジウムへ。
会場は東京大学浅野キャンパス(本郷キャンパスのとなり)にある武田先端知ビル。 あらかじめメールで申し込みしておき、送られてきたハガキと交換で、当日に講演予稿集がもらえる、というシステム。受付でいただいた袋を見ると、製本された予稿集のほか、武田財団の新刊書も入っていた。これで無料、しかも参加定員は300人なんだから、武田財団ってカネがあるんだなぁ。 予定されている3人のスピーカーのうち、今回のお目当ては中西準子さんの講演。 「リスク評価の知恵」というタイトルで、論文の図や数値もけっこう出てきて、すぐにすべてを理解するのはなかなかハードである内容ではあった。けど、この「リスク評価」=モデルを立てて観測(または実験)事実を積み重ね、「リスク」を定量的に把握していく、という考え方は、これからますます重要になってくるように思えた。 講演ではさらに進んで、実際の不確実性に対処していくため、「リスク評価に基づく順応的管理」ということを提案されていた。 例えば、何らかの化学物質の危険性は、 その化学物質の毒性 x 暴露量(要するに「浴びる量」) で表される。 ここで、毒性についての情報が不確実なのであれば、毒性が明らかになるまで使用禁止するのではなく、暴露量を厳格にコントロールすることで社会に対してその物質を使用する道を開きつつ、モニタリングを通じた毒性(リスク)の評価によって適切な暴露量制限へとフィードバックしていく、そうした対応を「リスク評価に基づく順応的管理」と言うらしい。 とはいえ、「何がリスクか」とか「どこからが危険か」といった判断基準は、つねに個人や社会における価値観とも関わってくる。だからこそ、「リスク評価」をより妥当なモデルにもとづいて、より定量的に行うことが、危険な物質を社会が適切にコントロールしていくために重要なのだろう。
by t-mkM
| 2008-02-04 23:44
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