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チーズの値段から未来が見える

エコノミストの人気ランキングで、6年連続1位だという方の本を読んだ。
と言っても、べつに突如、株式投資に目覚めたというわけではないし、本書の内容もその類が書かれているわけではないです、念のため。

『チーズの値段から未来が見える』上野泰也(祥伝社)


いまの世の中で暮らしている以上、あらゆる場面で「経済」という側面が付いて回る。しかも、「経済」にまつわるニュースや新聞の解説記事は膨大にある。
でも素人には、そういった記事を読んでも、イマイチよく分からないのが常だ。ま、書いている専門家の方たちも、はたしてどれだけ確信して文章にしているのか、ちょっとあやしい部分があるように思うけど...。(だいたい、経済予測の検証記事なんて、ほとんど見たことない)

本書は、副題が「日常感覚で読みとく経済」とあって、経済の主役は「自分」、というスタンス。複雑に見える経済現象も、基本的なルールは単純だと説く。

給料が上がれば、いろいろなものを買いたいと思うだろうし、逆に、物価や金利が上がれば、買い控えするだろう。誰もが、そのような動機付けにしたがって動いた結果の集積が「経済」なのだ。そこには、いわゆる「だまし」や「ひっかけ」はない。(p23)

当たり前じゃないかと思うけど、つまりは、経済の動きを予測するとき、なにも「裏」を読む必要はないのだ、ということだそうだ。

また著者の持論だとして、日本経済「3つの特徴」
(1)輸出主導
(2)根強いデフレ圧力
(3)格差型景気
があげられている。

このうち(2)に関して、昨今では食料品や原油の値上がりを受けて「これからはインフレか?」と言われはじめている。でも、著者によると、それはちょっと違うという。
消費者物価指数のうち、「酒類以外の食料とエネルギーを除いた総合(欧米型CPIコア、というそうだ)」でみると、07年末まで一貫して下がっていて、「生鮮食料品を除く総合(CPIコア)」との乖離が目立っている。つまり、一部食品とエネルギーの値上がり分が物価上昇を演出している。しかも、人口減少・少子高齢化で長期的な需要減少は避けられず、またその影響を受けて供給側は過剰となっており、原材料の上昇分を価格に転嫁するのはなかなか困難...。
ということで、全体の基調はいまだデフレなんだとか。

身近な事例が豊富にあって、分かりやすく書かれているので、すんなり読めて参考になった。
この本にならって、自分なりに「日本経済のシナリオ」を描いてみると面白いかも。
by t-mkM | 2008-08-28 23:48 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from 間取りの窓 at 2008-08-29 17:33
タイトル : 間取りの窓
ネットに混在する明らかに変な間取り図たち・・・ 家を探している人も、そうでない人も、間取りの迷路に迷いこむ・・・... more


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