このところ、海外小説を読んでないなぁ、と思っていたので、少し前に出た翻訳ミステリを読んだ。
『シャッター・アイランド』デニス・ルヘイン(ハヤカワ文庫HM) この本を読もうと思った直接のきっかけは、以前に紹介した『チーズの値段から未来が見える』で紹介されていたこと。現代日本の経済の動きをいかにとらえるか、という内容の本にあって、(たぶん)唯一取り上げられていた小説だったことと、わりと強く推されていたことが意外で新鮮に感じられたので(経済の本だったし)。 といっても、『シャッター・アイランド』は刊行時(ハードカバーは2003年)、評判がよかったようだし、作者のルヘインもすでに安定した人気作家であるようだから、いまさらではある。 以下、カバー裏の紹介文から。
これだけだと、何だかよく分からない。 けれど、最初のややもたついた展開を過ぎれば、あとはもうページを繰る手が止まらないような、スピーディーな展開。ミステリといえばミステリなんだけど、解説にもあったように、「自分探しの物語」だな、これは。 何を書いてもネタバレになりそうな構成なので、詳しくは書けないけど、ラストはちょっと驚きの結末に。(ハードカバー刊行時には、後ろの部分が袋閉じだったそうだ) それにしても、エンタメではあるけれど、物語全体を覆うトーンは暗い。陰鬱としている、と言っていい。舞台は第2次大戦後まもない、50年代の設定。読み終わって、ラストの驚きが通り過ぎると、「なぜいま、そうした時代背景の(暗い)エンタメを書くのか?」という疑問が頭の隅にわいてくる。 本書のことを「自分探しの物語」と書いたけど、この主人公が取る行動のいちいちが、「9.11」後のアメリカと重なって見える。なんて書くと、いまさらステレオタイプな、と言われてしまうかな。 でもたぶん、その辺が、『チーズの値段から未来が見える』を書いた方が「オススメ」している理由なのかもしれない。
by t-mkM
| 2008-09-15 23:53
|
Trackback
|
Comments(0)
|
カテゴリ
以前の記事
2024年 12月 2024年 02月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 more... フォロー中のブログ
off note-blog- URGT-B(ウラゲツブログ) weekend books 昨日の続き モンガの西荻日記 往来座地下 新・クラシック音楽と本さ... ブックラバー宣言 ジャズ侍の無節操三昧 ブック・ダイバー(探求者... 鬼子母神通り みちくさ市 密林生活 jun... 古本万歩計 古書信天翁の日誌 一箱本送り隊 daily-sumus2 その他のリンク
古本T ←現在、閉鎖中
不忍ブックストリート しのばずくん便り okatakeの日記 内田樹の研究室 本日の写真(と最近読んだ本) 四谷書房日録 サイエンスライター 森山和道 橙日誌(甘夏書店) 木槿堂書店 麗文堂書店 やまねこ書店ーやまねこの日記 宇ち中 Kai-Wai 散策 古書ほうろうの日々録 文壇高円寺 ザ大衆食つまみぐい 吹ク風ト、流ルル水ト。 谷根千ウロウロ 「へのさん」の本でいっぷく ねこまくら通信 石英書房 放浪書房 市川糂汰堂 相互に旅をする人(羽鳥書店ブログ) わめぞblog 駄々猫舎☆活動記録 赤いドリルの夢は夜ひらく わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる 古本屋ツアー・イン・ジャパン 古書 西荻モンガ堂 東京古本市予定表 月刊『記録』 映画保存協会 渚だよりリコシェ波乗り営業日誌 出版・読書メモランダム 余白やの余談 水族館劇場 ニュース 雲のうえのしたで 火星の庭 港の人日記 かまくらブックフェスタ ブログ はやま一箱古本市 ricochet-odaihon ブックカーニバル in カマクラ 最新のコメント
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||