2017年 05月 19日 ( 1 )

『そして、暮らしは共同体になる。』を読んだ

このところ、あれこれといろいろあるせいか、なんだか一週間が早く過ぎてしまう…。が、しかし、そうはいっても大したことは出来てない、ってところがなんだかなぁ。

話しは変わって、少し前に読み、いろいろと啓発されるところがあったので、以下、メモ的に。

『そして、暮らしは共同体になる。』佐々木俊尚(アノニマ・スタジオ、2016)

パステル画?風の素朴なイラストで町を描いている表紙が、なんともやさしい雰囲気を醸し出している。内容はといえば、リーマンショックと東日本大震災を契機に、私たちの意識の変化が、食をはじめ生活全般におよんでいるとして、

「その「変化」を分析し、流れの先に何が見えようとしているのかを解き明かすのが、本書の目的です。」(p9)

というもの。
語り口というか、文章自体は表紙のような感じで読みやすくはあるけれど、この本でなされるこれまでの消費や文化の分析やこれからの方向性などは、「なるほど」と思えるところや考えさせられる部分が多く、いまの生活を見直すヒントがあるように感じた。随所に差し挟まれる"佐々木風料理レシピ"も、なかなかいいアクセントになっていて、最後までとっつきやすいトーンが一貫している。

近代の成長の時代に、多くの人たちは、大衆消費社会の中で出世を目指し、金持ちへと成り上がろうと上昇志向を持ちました。「上へ、上へ」です。
 そしてまた別の人たちはそういう上昇指向を否定し、アウトサイダーとして消費社会を蔑視する反逆クールの道を選んだ。「外へ、外へ」ということです。
 ところが気がつけば、「上へ」も「外へ」も、どちらもぐるりとまわって同じ立ち位置になっているということなのです。
 つまり、上昇志向の持ち主と、反逆クールは、この大衆消費社会を支える表裏一体の存在だったということです。
(p47−48)

この"反逆クール"という見立てからはじまり、主に食に関する最近の動きをミクロ的に見ながら、著者自身が実践している他拠点生活で得た経験をベースに、「横へ」という、近代ではあまりなかったとされる指向について深めていく。
ここでは、ミニマリストとよばれる、自身の生活における持ち物を最小限まで抑えて生活する人々が出てくる。最近、ミニマリストというコトバを耳にすると、「なんだかなぁ」というナナメ目線でしか見られなかったけど、「内と外を隔てず、日常も外出時も同じファッション」とか、「つねに身軽に」、非常時の持ち物も常に携帯してスニーカーを履く、というスタイルなど、災害と隣り合わせとなった現在では、参考になる。

でまあ、後半は「暮らしは共同体へ」ということで論が進むんだけど、ここらへんからはぜひ本書を。

ひとつ、興味深かったのは、ビッグデータ解析などが急速に注目され、個々人がデジタル情報の波にのまれてプライバシーがさらされる恐れを抱いている現状は改善できるとして、そのキモは、個々人と情報収集する側のシステムとの間に共同体を挟むこと、といったような趣旨が書かれていたことかな。
また、結婚生活に関しても、「夫婦は愛し合わなければならない」「夫婦二人だけの世界を作り上げなければならない」という"固定観念"が抑圧になっており、またそうした傾向を後押しするようなマスコミの現状を批判的に見ているのは、ちょっと新鮮だった。

通底するキーワードは「ゆるゆる」と。

本書での議論は、都市生活者、そしてまたフリーランスの仕事の方だからこそ可能、とも思うけど、参考になる視点は多々ある。要は、これをもとに自分でも実践してみること、なんだろうな。


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by t-mkM | 2017-05-19 01:19 | Trackback | Comments(0)