2017年 08月 10日 ( 1 )

独特で強烈な世界観 ケアリーの『堆塵館』

エドワード・ケアリーという作家のことは、だいぶ前に読んだ『望楼館追想』が面白かったので覚えていたけど、今回もかなり独特の、そして確固とした物語世界を見せつけてくれた。

『堆塵館』エドワード・ケアリー/古屋美登里 訳(東京創元社、2016)

アイアマンガー三部作の第一弾、という触れ込みで、すでに第2部の『穢れの町』も出ているようだ。以下はアマゾンの内容紹介。

19世紀後半、ロンドンの外れの巨大なごみ捨て場。幾重にも重なる屑山の中心に「堆塵館」という巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。一族の者は、生まれると必ず「誕生の品」を与えられ、一生涯肌身離さず持っていなければならない。15歳のクロッドは、聞こえるはずのない物の声を聞くことができる変わった少年だった。ある夜彼は屋敷の外から来た召使いの少女と出会う。それが一族の運命を大きく変えることに…。『望楼館追想』から13年、作者が満を持して贈る超大作。

著者による表紙のイラストからしてインパクトがあって、しかも著者による登場人物のイラストが随所に出てくる。それはそれでなかなか印象にも残るのだけど、中身はそれ以上で、ある種、ぶっ飛んだ設定の、先の読めない世界が紡ぎ出されていく。
で、その語り口とでも言えばいいのか、かなり独特で変わった(というか相当にヘンな)物語世界を、ストーリーとしてスリリングに読ませながら徐々に構築していく、その力量にうならされた。

図書館では「ヤングアダルト」(!?)に分類されてしまっていたけど、そんなジャンル分けなど、はなから無効にしてしまう、その提示される世界観が強烈である。
そして、そんな小説の世界観を外国人の我々もちゃんと味わえるのは、古屋氏の訳文によるところも大きいように思えた。

ラスト、「ここで終わんのかよ!」という感じなので、ぜひとも続きが読みたい。


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by t-mkM | 2017-08-10 01:14 | Trackback | Comments(0)