<   2017年 03月 ( 3 )   > この月の画像一覧

聖地巡礼:滝山団地へ行った秀逸ルポのブログ記事

最近、近年になく仕事のほうが立て込んでおり、ブログの更新が滞っている。
まあ、このところは1週間に一回程度のエントリがしばらく続いているし、それに比べれば「滞っている」というほどのもんでもなかろう、と言われればそうなんだが。

そうはいっても、ネットを徘徊するのは毎朝新聞読むのと同じようなことなので、つらつらとチェックしていると、先日、目にとまったブログ記事があった。
「Everything’s Gone Green」というタイトルのブログで、「滝山団地に行ってきた」というエントリ。

 先週末の3月11日、東久留米のあたりにある巨大団地、滝山団地に行ってきた。なんでかというと、聖地巡礼である。

という書き出しで始まるのだが、これはもちろん、次の本の「聖地巡礼」である。

『滝山コミューン1974』原武史(講談社文庫、2010)

単行本が出たのは2007年くらいだったか。
ブログ主曰く、「しばらく前に読んだ『滝山コミューン1974』という本がめちゃくちゃ強烈だったので、これは是非とも現場を見にいかねば!と思い、」友人と行ったのだとか。
どんな本なのか?というと、以下はアマゾンの内容紹介。

郊外の団地の小学校を舞台に、自由で民主的な教育を目指す試みがあった。しかし、ひとりの少年が抱いた違和感の正体は何なのか。「班競争」「代表児童委員会」「林間学校」、逃げ場のない息苦しさが少年を追いつめる。30年の時を経て矛盾と欺瞞の真実を問う渾身のドキュメンタリー。

かくいうワタクシも、この本には衝撃と言っていい印象を持った一人である。
単行本にまとまる以前に、『群像』での連載を読んで、キョーレツな読後感を残したことを、昔のブログにも書いたことがある。
http://tmasasa.exblog.jp/6344774/

で、聖地巡礼である。
このブログ記事、『滝山コミューン1974』を読んだ人なら楽しめると思うけど、もっとも「へぇー」と感じたのは次の箇所。

 話に聞いてはいたが、滝山団地の威容は本当に凄まじい。歩いても歩いても同じ形の建物がずーーーっと続いて建っており、しかも周囲の住宅街とは隔絶した立地になっているので、団地の中にいる限り団地の建物以外がほとんど視界に入ってこない。いけどもいけども団地。遠近感が狂いそうになる。

このあと、40年前から団地に住んでいるというおばあさんと遭遇して…、というくだりも興味深く、本の感想をふりかえりつつ、いろいろと思わせるところがある。最近のブログ・エントリの中では秀逸なヒット作だと思う。
『滝山コミューン1974』を読んだ人も、そうでない人も、読んでみるといいかと。
面白いよ。


[PR]
by t-mkM | 2017-03-29 01:00 | Trackback | Comments(0)

「シン・ゴジラ」再び

昨年、劇場で2回観た映画『シン・ゴジラ』。
その総監督である庵野秀明が責任編集し、東宝が監修した記録全集がようやく昨年末に発売になった。この本、ずいぶん前から相方が図書館にリクエストしていたのだが、ようやく入ったようで、借りてきて見てみた。

『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』責任編集:庵野秀明(発行:株式会社カラー、2016)

定価が1万円を越えており、そのぶん、物量も巨大で重厚。
真っ黒で重厚な作りの箱入りで、最終版の脚本やカラー・イラストのポスターも付いている。そして本体のなんと分厚く重い(!)ことよ。ほとんど凶器だな、これは。

映画でも冒頭からしてスピーディな展開とその情報量に圧倒されたけど、こちらの記録全集も、映画以上にすさまじいまでの情報量で、ラストに置かれた庵野総監督の超ロング・インタビューに至るまで、読み応え(見応え)十二分のシロモノ。映画を観た人なら、これだけでもしばらくは十分に楽しめることうけあいである。
できるなら、これを眺めた上で、もう一度劇場で映画を観てみたいとあらためて思ったしだい。

もうひとつ。

映画『シン・ゴジラ』がヒットしてこっち、各方面で『シン・ゴジラ』について書かれた本や記事などが出ていたけど、一段落したかとおもいきや、こんな本が出ていたので、こちらも図書館で借りてきた。

『シン・ゴジラ論』藤田直哉(作品社、2017)

冒頭の「序」を見ると、著者は『シン・ゴジラ』を観て、「… 圧倒された。/何か、凄まじいものを観たという印象だった。」と語る一方で、「ぼくの胸に一番引っかかったのは、東日本大震災という現実に対し、このような虚構をぶつけることの意義である。」と疑義を呈している。

まだ読んでいる途中なんだけど、識者のツイートなども詳細に引用しつつ、さまざまな角度から論を進めていて、興味深い。はてさて、どういう「結論」になるのやら。



[PR]
by t-mkM | 2017-03-15 01:59 | Trackback | Comments(0)

タワーマンションでの"階級闘争"

きっかけはたしかネットを徘徊していて、だったかな。
"タワーマンションを舞台した上層階と下層階との軋轢を描く…"みたいなあらすじを見て、面白そうだと思って読んでみた。

『ハイ・ライズ』J.G.バラード/村上博基・訳(創元SF文庫、2016)

SF小説界?のビッグネームと言っていいのだろうけど、バラードの長篇を読むのはこれが初めてかも。
以下はアマゾンにある内容紹介で、文庫カバーのあらすじと同じ。

ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校まで備えたこの一個の世界は、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の上層部に階層化していた。全室が入居済みとなったある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。中期の傑作。

語り手の一人が、マンション内での騒乱と混沌が静まった後に、自室で(シェパードの焼肉を食いながら!)その出来事を回想する場面から、物語は始まる。
マンション内の上層階、中層階、下層階それぞれに視点人物となる男性居住者を配し、その3人の内面と行動を描きながらストーリーが進んでいく。

…しっかしまあ、物語半ばからこっち、マンション住人たちの壊れっぷりたるや、いやまあすさまじいなぁ。
中盤以降は階層間での闘い、というかほとんどマンション内における現代的な階級闘争といった様相を呈するのだけど、その闘いぶりたるや、「ここまでやるか」といった感じ。ある意味、タワーマンション版「荒野のジャングル」、弱肉強食的世界で、住人たちの退行ぶりには目を見張る。
1975年の作品なので、日本では当時そんな高層マンションは出現してなかっただろうが、その頃の欧米にも40階建マンションってあったのだろうか。ま、SFというよりも近未来社会的ホラー小説とでもいうような感じである。

こう書いてくると、なんだかムチャクチャな小説のように映るかもしれないけど、読後、じわじわと「いま」を感じさせてくる。(まあなんというか、タテマエは後ろに追いやられ、ホンネがむき出しになっている、とでも言えばいいか)いまになって文庫で復刊された意味も、その辺にあるのでは。

2015年に映画化されており、すでにDVDも出ているようなので、ぜひとも見てみたい。



[PR]
by t-mkM | 2017-03-03 01:13 | Trackback | Comments(0)