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 2011年5月末より7年間、どうもありがとうございました。
 (お店は変わらず、営業中。古本T以外の本の販売も継続中)


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# by t-mkM | 2018-12-31 23:59 | Trackback | Comments(0)

ようやく読んだ『悲の器』

以前、高橋和巳『邪宗門』という一大長篇小説を読んだ。
そのときの簡単な感想をブログにも書いた↓けど、確認するともう4年前だ。
https://tmasasa.exblog.jp/23600314/

そのエントリのなかで、次のように書いた。

その昔、大学の教養部で授業を受けていた頃。
第2外国語で選択したドイツ語の教師が、どういう話の流れだったのか忘れたけど、ある日の講義で「君たちに勧める小説」をいくつかあげたことがあった。その時の1冊に、高橋和巳『悲の器』があったのを、なぜか今でも覚えている。

ということで、ようやくだけど、その小説を読んでみた。

『悲の器』高橋和巳(河出文庫、2016)

いまどき、高橋和巳の小説が巷でどれほど受け入れられるのか分からないけど、『邪宗門』の復刊以後、高橋の長篇小説が河出文庫で次々復刊されているので、それなりに需要があるんだろう。とはいえ、この『悲の器』だって文庫で1300円(税別)。いやなかなか…

以下はアマゾンにある『悲の器』(復刊した河出文庫版)の内容紹介。

正木典膳は法学部教授。神経を病んだ妻をもつ彼は、やがて家政婦と関係を持つ。しかし妻の死後、彼は知人の令嬢と婚約し、家政婦から婚約不履行で告訴される。三九歳で早逝した天才作家のデビュー作となった第一回文藝賞受賞作。戦後文学の金字塔!

文庫の裏表紙を見ると、ここにある紹介文に加えて、
「孤高の一法学者がたどる転落の道。戦後日本の歴史パノラマに、傲慢、愛欲、エゴを描いて凄絶極まりない」(亀山郁夫)。
という一文もある。
この小説も530ページ。改行が少なく、びっちりと活字で埋まったページは漢字が多いゆえ、その黒いこと。

じつは一度トライしたものの、冒頭のところで投げ出した。
今回、それを超えて読み進んでみると、相変わらず読みにくく、いつまでたってもリーダビリティは上がっていかないのだけど、その文章自体の磁力とでも言えばいいか、そんなところに引きつけられる。(でもまあ、横になって読んでると眠くなるんだけど)

先のエントリでも"波瀾万丈の壮大なる大河ドラマ"と書いた『邪宗門』とは異なり、作風はさらに陰鬱としている。ストーリーとしては上の紹介にあるとおりで、波瀾万丈は無いと言っていい。主人公が法学者の大家なので、登場人物の言動や行動のいちいちに対して、論理や理路をもって主人公が回想する。彼を訴える家政婦にしてからも、婚約不履行で訴えているとは言え、法学者を相手に整然と反論するのである。そして現在の目線からすると、女性差別をはじめ、各所で顔を覗かせる差別的視点にはちょっと意外な感がする。

そんなこんなで、この正木典膳という、おそらく東大がモデルとおぼしき法学部教授で学部長の主人公はまったく鼻持ちならない主人公ではある。けど中盤に至り、戦中から戦後にかけて、彼も含む同窓や同僚の法学者、知識人といった人々の言動や身の処し方などが語られていくのだけど、国の体制が激変するなかでのインテリたちの行動や、対する主人公の見解など、なんだかミョーに既視感を感じさせ、現在に通じるものがある。

どういう着地をするのか、まったく最後までと予想させないのだが、全てを振り切って孤絶へと踏み出すかのようなラスト。インパクト大である。これが当時31歳、文壇デビュー作というのだから、恐れ入る。

そうして、さらに高橋和巳の小説に手をのばそうか、と思ってしまうところが、復刊されている理由か。また、かつて教養部のドイツ語教員が進めたワケも、分かる気がした。



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# by t-mkM | 2018-09-19 01:04 | Trackback | Comments(0)

『ミッション・インポッシブル:フォールアウト』を観て

9月1日土曜日。
「映画の日だ」と気づき、休日に重なるタイミングは貴重なので、前から気になっていた映画を観てきた。

『ミッション・インポッシブル:フォールアウト』
クリストファー・マッカリー監督、147分、配給:東和ピクチャーズ、2018年

以下は「映画 Movie Walker」からの作品情報。

スゴ腕エージェント、イーサン・ハントの活躍を描く、トム・クルーズ主演の大人気スパイ・アクションシリーズ第6弾。何者かに盗まれたプルトニウムによる同時核爆発を未然に防ぐというミッションに、イーサンとIMFのチームが挑む。前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』に引き続き、クリストファー・マッカリーが監督を務める。

劇場は木場の109シネマズ、IMAX 2Dでの上映。
映画の日ということで、IMAX上乗せでも1500円だったかな。ま、この手の映画をIMAXで観たのは、やっぱり正解であった。

思い返すと、このシリーズ、ひさしぶり観たのだけど、これまで観たのはせいぜい2作か。
今回も、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントが所属する「IMF」という字幕が出たとき、「えっ、国際通貨基金?」などと思ってしまったくらい。まあ、その程度ということ。

もちろん→ 秘密諜報組織「IMF(Impossible Mission Force、不可能作戦部隊)」
(ウィキペディアより)

今回、「トムのアクションがスゴい」との噂は聞いていたものの、もうそのとおり。2時間半の上演中、アクション・シーンの連続に圧倒され続けた感じ。

ネットで確認すると、トム・クルーズはほぼすべて自らやってるようで、いやもう驚き。ビルに飛び移るシーンでは着地に失敗、骨折し、全治6ヶ月だったそうだが、6週間で直して撮影に復帰したとか、マジにスーパーマンである。(そのシーン、実際に使われているらしく、どの場面は観ればわかる)
トム・クルーズ56歳、さすがに若い頃の肌のハリはなくなり、年を取った感じは否めないが、全力疾走しているところなど、ほとんど陸上球技の短距離選手と同じ走り方。そうとうに鍛えているんだろうな、と思わせる。

ストーリーとしては、前作『ローグネイション』から続いているという設定なので、前作を観てからのほうが分かりやすいのかも。
こちら、前作を観てないので、IMFにとっての敵・味方が入り乱れる展開に途中でややついて行けない箇所もあったけど、なーに、そんなことは大した問題ではない。
基本は「スパイ大作戦」なので、冒頭でのお約束であるミッションの指示(今回も"消滅"した)を頭にいれ、大枠を抑えておけさえすれば、相手の裏をかくおなじみの展開とともに、怒濤のアクション・シーンに身を任せるだけ。

ようするに、娯楽映画の王道だ。

あとでふり返ると、いろいろ突っ込み所はある。けど今回、見終わってネットでの制作裏話なども含め、トム・クルーズという人のスゴさを再認識させられた感じが強い。エンターテイナーとしての徹底ぶりももちろん、製作にも関わっているわけで。

この『ミッション・インポッシブル』シリーズ、見返してみると、全体として言外(視覚外?)に実感される何かがあるような気がするな。
まずは『フォールアウト』、もう一度、今度は吹き替え版で観てみたい。



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# by t-mkM | 2018-09-06 01:10 | Trackback | Comments(0)

航空機事故を通して昭和を俯瞰する"奇書"?

以前に読んだ本だけど、まだ感想を書いていなかったようなので、以下メモ的に。

『アクシデント・レポート』樋口毅宏(新潮社、2017)

表紙はまっくろで、旅客機の姿が浮き上がっている。そこから、日航ジャンボ機墜落事故に関係する小説なのかと思いきや、(そうであるとも言えなくはないけど)まったく違った。
以下はアマゾンにある内容紹介。

史上最悪の航空機事故は仕組まれたのか。『タモリ論』で「いいとも」終了を予見した著者が満を持して放つ大長篇。御巣鷹山の悲劇は空前絶後ではなかった。しかも今度は一機だけでなく、ブラックボックスが見つからず真相は闇に覆われる。事故関係者と遺族、生存者の証言から浮かび上がる人間模様、政府と企業の体たらく、文化芸能、沖縄・原発の問題、そして隠されたこと。刊行自体が「アクシデント」な劇薬小説。

600ページを超えるぶあつさで、しかも2段組。
国産の小説ではいまどき珍しい活字量なので、ちょっと身構えるけど、読んでみると面白い。上で書いたように、当初に想像していた内容とは違うし、冒頭で「どの章から読んでも構わない」なんていうことが書いてあって、読み始めはちょっと面食らう。

日航ジャンボ機墜落事故から10年後、1995年に、またしても日本で大規模な航空機事故が起こる。
東京発沖縄行きの飛行機と、大阪発東京行きの飛行機が空中で衝突、多数の死者が出るものの、ブラックボックスが不明なため、未解明の謎が多く残される。この事故をめぐって関係者に聞き取りをつづけるライターのレポートを集めた、という形式で小説がすすむ。

もちろん、95年の事故は架空である。
実名こそ出てこないが、日本を代表する企業、新聞社から政治家、政党など、「あの会社(ヒト)だよな」と分かるような感じで固有名詞がつぎつぎと出てくる。なんというか、前代未聞の航空機事故の背景を探るなか、事故の遺族や関係者など、様々な階層や立場の人びとの語りを通じ、"昭和の日本"を裏からのぞき見て、俯瞰するかのような、そんな内容である。

読んでいると引き込まれるのだけど、なぜかアマゾンのカスタマーレビューは2.2。トホホなくらい低評価である。なんでかな? 小説なんて、オチがなくても、ノンフィクションの形式を借りても、何でもアリなんだと思うんだけど。

ちなみに、こちらにある著者のインタビューによると、こんなことが書いてあった。
https://mainichi.jp/articles/20180123/org/00m/040/027000c

…この作品ではとんでもないところに行ってしまって、僕自身、現実に戻って来られなかった。編集者が安全弁を付けてくれたので、なんとか乗り切れました。一人だったら溺れ死んでいたし、出版できなかったと思います
(「SUNDAY LIBRARY 著者インタビュー」より)


本書を読むと、さもありなん、と思う。
たしか、分厚い上下本『1968』を書いた小熊英二が、「脱稿後には寝込んだ」みたいなこと言ってたのををどこかで目にしたことがあるけど、似たようなものかもしれない。

この著者は現在、作家引退中で子育て中らしいけど、はやく復帰して新作を届けてくれないだろうか。


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# by t-mkM | 2018-08-29 01:06 | Trackback | Comments(0)

『消滅世界』の描くパラレルワールド

先日、『コンビニ人間』を読んで驚かされたので、同じ作者の村田沙耶香の別の小説にも手をのばしてみた。

『消滅世界』村田沙耶香(河出書房新社、2015)

読んだのはこの単行本なんだけど、つい最近、文庫化されたようで、以下はその文庫版のアマゾンのページに載っている内容紹介。

セックスではなく人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する…日本の未来を予言する傑作長篇。

著者の小説はすでにいくつもあるんだけど、次にこの小説を選んだのは、「未翻訳ブックレビュー」というブログの、以下のエントリを読んで面白そうだな、と思ったから。

まず、読んでみた印象を簡単に言えば、小説としては『コンビニ人間』のほうがよくできていると思うけど、スケールの大きさでは『消滅世界』のほうが明らかにデカい。

人工授精が定着し、生殖と恋愛が分離した世界。結婚という制度はあるけど、夫婦間のセックスは「近親相姦」とされ、夫婦には家庭の外での恋愛対象がフツーにいる。しかも、その対象は人間に限らず、フィクションのキャラクターすらも恋愛の対象になっている。

…とまあ、「えー!」というような世界だけど、いまや人工授精は(100%確実ではないにせよ)技術としては確立しているし、結婚という形態も多様化し、離婚や結婚をくり返すことも珍しくない。ふり返れば、すでにして、出産や子育てが、恋愛や結婚とは必ずしも一直線には結びつかないことになっている。そんな現実を見れば、いまの世界と『消滅世界』が描く世界とは、決して断絶しておらず、むしろ地続きであるといえるのではないか。

読んでいると、この小説の世界観にいくつか矛盾というか綻びを感じる箇所もあるのだが、それも含めて小説としてのインパクトを感じる。
思いもよらないラストの場面で、その余韻が強く印象に残った。

ふと、この『消滅世界』というタイトル、何が"消滅"なんだろうか? と思ったのだが、つらつら考えると、いろんなコトが"消滅"に該当しそう。なかなか意味深で広がりのあるタイトルかもしれない。


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# by t-mkM | 2018-08-24 01:31 | Trackback | Comments(0)

ショッピングモールの見方が変わる

夏休みなので、近所の行きつけの図書館へ行ってうろうろ。
開館まもない図書館は、お盆期間なので小さい子どもづれの家族も見かけるものの、総じて中高年が多い。とりわけ、2階にある雑誌や新聞が読めるコーナーでは、同年配かそれ以上の方々がほとんどだ。

そんないつもの光景のなか、うろうろしながらも、図書館に来すぎている?せいか、本の背表紙を見ていても、手が伸びるような本があまりない。
で、いつもは新刊の箇所しか見ない新書のコーナーをじっくり見ていて、こんな本があったので借りて見た。

『ショッピングモールから考える』東浩紀・大山顕(幻冬舎新書、2016)

以下はアマゾンの内容紹介。

地方や郊外に乱立するショッピングモールは、これまで地元商店街の敵であり、コミュニティ荒廃の象徴とされてきた。しかし、果たしてそうだろうか? 実際は、小さな子どものいる家族や高齢者にも優しい公共空間としての役割を担っている。それは日本だけではない。世界の都市部でも、政治や文化や宗教や階層が異なっても、誰もが同質のサービスを受けられるショッピングモールが、理想の街の姿とされる。差異と格差が進む今こそ、均一であることの価値を見直すべきではないか。ショッピングモールを出発点に、変貌する人間の欲望と社会の見取り図を描く。

東氏の運営する「ゲンロン」のカフェで行われた3回の対談をまとめたもの。もとは電子書籍としてゲンロンから出たもので、さらに1回分の対談が追加された増補版。

あとがきで東氏も書いているけど、内容はといえば、ショッピングモールを「ネタ」に「放談」しているものだ。とはいえ、出てくる視点やアイデア、交わされるやりとりは「へぇ」と思うところも多く、初めて知ることも多い。さくっと読めるけど、なかなか刺激的で、街歩きが好きな人には受けると思う。

以下、面白かったところをパラパラと本を見返しながらピックアップしておく。

大山 都市計画の観点からは、よく東京にはストリートがないと言われます。この場合、道路とストリートは区別されていて、ストリートというのは公共空間のことを指しています。あらかじめ成熟した都市文化を持つ街が開発されるときには、まず先にストリートができあがる。たとえば京都や博多はそうなっています。パリをイメージしていただくとわかりやすいかもしれない。
 しかし東京の場合はストリートがないので、平面上に建物が乱立して、残ったところが道路になったような印象を受ける。典型的な違いは住所の示し方で、パリでは住所を「何番通りの何番」というふうに表します。京都も同じですね。でも、東京は区画に対して番地が与えられており、住所に道路が含まれない。
 これは田んぼのシステムを引きずっているのです。田んぼをつくっていると、道というのはたんに移動するためのものでしかない。だから区画で管理して、どの田んぼがだれのものかを明確にするほうが重要です。それに対して都市というのは、公共の場であるストリートが重要だから、まずストリートを作って、そこに名前を与える。
(p93-94)

「吹き抜けがあるのがモール」で、「ないのが百貨店」
(p151)

ともあれここまでの話をまとめると、「ショッピングモール=ストリート=都市」であり、「百貨店=フロア=田んぼ」。
(p165)


まだまだあるんだけど、対談なので要約するのが面倒でもあり、なかなかメモに向くところがない。
「モールには内側だけあって、外側がない(外側がバックヤードのみ)」、「モールは世界中に広がっているけど、コンビニはアジア圏にとどまって、欧米(欧州?)には見られない」、といったところも印象に残った。

郊外にある、クルマで出かけることが前提の、ホントにデカいショッピングモールって、ちょっと苦手なのだけど、本書を読んでふり返れば、最近オープンしたミッドタウン日比谷はじめ、都心の各地にできているテナントが入った高層ビルだって、吹き抜けはあるし、まさしくショッピングモールそのものだ、と今さらながらに気づいた。

今後、公共空間としてのモールに批判的な論者との対談なども行っていただき、第2弾の新書を出してもらえると、よりいっそう議論が深まるかも。


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# by t-mkM | 2018-08-16 01:10 | Trackback | Comments(0)

『コンビニ人間』に(今さらながら)驚く

今週は世間的にはお盆休みのようで、通りを走るクルマもえらく少ないし、駅を行き交う人びとの服装も仕事する感じではない。
こちとら、とりあえず休みではあるけど、どこへ行く予定もないので、いつもの休みのように近所の図書館に行く。と、返却されたコーナーで目に止まった本があった。

『コンビニ人間』村田沙耶香(文藝春秋、2016)

以下はアマゾンにある内容紹介から。

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。

2016年上半期の芥川賞受賞作で、けっこう売れていると聞く本作。そのせいか、なかなか図書館でもお目にかからなかったのだが、「これは」とさっそく借り出して読んでみた。

この作家の小説を、じつは初めて読むのだが、いやもうオモシロくて一気に読んだ。
どこにでもある「コンビニ」という空間をネタに、現代ニッポンとそこで暮らしているフツーの人びとに対する視線のシニカルさが所々で印象に残る。文章は読みやすいし、心理的な葛藤が描かれるわけでもなく、登場人物の言動はみな類型的ですらあるけど、読み終わって感じさせられる全体のトーンは、面白さを超えて、深い。

主人公の言動に、生理的について行けないヒトもいるかもしれないが(「主人公はサイコパス」という方もいるようだし)、アマゾンでは、いま見ても「ベストセラー1位」という表示が出ている。いちおう純文学方面の小説としては、異例なのでは。

売れたと言うことは、映像化もありえる、ということでもあろう。映画化を待ち望む声もネットでは見かけるし。
この小説の映像化の行方は気になるところ。






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# by t-mkM | 2018-08-15 01:45 | Trackback | Comments(0)

最近観たDVD・異色の2作

このところ本の話しが多いけど、今回は映画。
最近借りてきたDVDのうち、毛色の変わった映画を2本について、メモ的感想を書いておく。
まず1本目。

『ゲット・アウト』監督:ジョーダン・ピール(2017)

昨年、話題になったらしいのだが、「そうだっけ?」というくらいの印象。でも、地元アメリカではけっこうヒットしたとか。
以下、YAHOO! JAPAN 映画の載っている「あらすじ」。

ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリス(ダニエル・カルーヤ)は、週末に恋人の白人女性ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に招かれる。歓待を受けるが、黒人の使用人がいることに違和感を覚え、さらに庭を走り去る管理人や窓に映った自分を凝視する家政婦に驚かされる。翌日、パーティーに出席した彼は白人ばかりの中で一人の黒人を見つける。古風な格好をした彼を撮影すると、相手は鼻血を出しながら、すさまじい勢いでクリスに詰め寄り……。

上映時間100分ちょっと。
前半、ややまったりとした話しが続くけど、後半のあれよという怒濤の展開にはいろんな意味でビックリである。同じYAHOO! JAPAN 映画の中にある「映画レポート」で、この映画を評して"人種差別スリラー"とあったけど、まあ一言で言えばそうなるか。

…しかし、ワタクシとしてはイマイチ乗れなかったなぁ。
(若干ネタバレになるけど)主人公のクリスが、過去にトラウマを抱えているとは言え、恋人の実家で母親の催眠術にいとも簡単にかかってしまうところから、なんだか憮然としてしまった。いくら母親が精神科医という設定だとしても、これが一度ならず…、というのも興ざめだったところ。
ネット上では「2度観るとさらに面白い」ともあったけど、2回目を観る気力が…、という感じかな。

エンディングには別バージョンがあったようだけど、まあ、あのラストになるだろうね。ただ、主人公は結局のところ、警察で取り調べを受けるだろうし、無罪とはならないでしょう。

それで、2本目。
『マザー!』監督:ダーレン・アロノフスキー(2017)

こちらは日本での上映が禁止となった映画。
おかげで、ネット上には正規?の情報が少ないようで、YAHOO! JAPAN 映画には「あらすじ」がない。以下は映画.comからの解説。

「ブラック・スワン」の鬼才ダーレン・アロノフスキー監督が、「世界にひとつのプレイブック」でアカデミー主演女優賞を受賞した若手実力派のジェニファー・ローレンスを主演に迎えて描くサイコミステリー。郊外の一軒家に暮らす一組の夫婦のもとに、ある夜、不審な訪問者が現れたことから、夫婦の穏やかな生活は一変。翌日以降も次々と謎の訪問者が現れるが、夫は招かれざる客たちを拒む素振りも見せず、受け入れていく。そんな夫の行動に妻は不安と恐怖を募らせていき、やがてエスカレートしていく訪問者たちの行動によって事件が相次ぐ。そんな中でも妊娠し、やがて出産して母親になった妻だったが、そんな彼女を想像もしない出来事が待ち受ける。

観ていると、主人公夫婦の振るまいに「えっ、どうして?」「なんで?!」と感じる場面が立てつづけに起こり、とってもイライラする。と思っていると、途中から、それこそ大型台風を上回るかのようなとんでもない事態が主人公夫婦を襲うのだが、このあたりから、まったく予想もしなかったラストへ。

ベースになっているのはキリスト教の聖書だとか。そう言われれば、そうかとは思うものの、こちとら、そういう信心はまったくないし、知識不足でもあり、観ているといらだち感のほうが募る。(ネット上ではこの映画の「解説」があれこれあるので、詳しい解説はそちらを)

しかし、上映禁止になるだけあって?、ぶっ飛んでるぐあいはハンパない。世界というか人類の"どうしようもなさ"とでもいうものをを突きつけられる感じ。イヤハヤ…。
上映禁止とはいえ、思っていたほどのグロさはあまりない(と感じたが、人によるかもしれない)。ただ、宗教的な視点からはバッシングを受けるのも仕方が無いのかも。

こちら、機会があれば、予習の上でもう一回観てみたいかな。


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# by t-mkM | 2018-08-09 01:04 | Trackback | Comments(0)