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『ウェブはバカと暇人のもの』を読む

少し前、「web 2.0」という言葉が流行っていたけど、そのうちすぐに聞かなくなった。あれはいったい何だったのか...。

扇情的なタイトルのせいもあってか、ネット界隈では言及されている機会が目について、そのうち1,2読んだこともあったので手に取ってみた。
『ウェブはバカと暇人のもの』中川淳一郎(光文社新書)


その「web2.0」についても言及されているけど、本書を読む限り、ネットの普及と発展によって希望のある未来が開ける、なーんていうことはどうやら望み薄のようである。
ネットニュースの編集という仕事上で著者が経験・見聞した、あきれるようなクレーム、というか言いがかりの数々。これらは、テレビを見ればよく見かける事例でもある。また、「集合知」ならぬ「集合愚」のエピソードも。

また、第3章で強調されているのは、
・なんだかんだ言ってもテレビの影響力はまだまだ絶大
・一定の金額を支払えば無尽蔵にコンテンツが見られる点で、テレビとネットは似ている
(一方、雑誌や新聞はその都度お金を支払わないと手に入れられない)
・結局、テレビで受けることがネットでも受ける
・ネット独自でヒットしたモノ(ヒト)なんて、ほとんどない
といったこと。

ただ、高齢者と若者とではネットに対する接し方も根本的に違うはずだが、その点についての分析はほとんど見受けられないのは気になった。ここで言われている「テレビの影響力はまだまだ絶大」ということも、全体としては肯定できるものの、たとえば30歳以下に限って見た場合にはどうなのだろう。また異なった結果になるのでは?

まあ、なにごとも普及すれば平均値が下がるのはしかたがないことであって、ネットも例外ではない、というだけのことなのかもしれない。でも、ネットの普及によって情報収集は格段に便利で手軽にはなった。問題はそうした変化が人々の行動の質を上げているのか、と言うと、それほどでもない、ということなんだろう。

わが家の場合は、テレビがないこともあって、ネットはずいぶん重宝しているけど。
by t-mkM | 2009-07-17 00:20 | Trackback | Comments(0)


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