アタマの隅に残りつづけている梅崎春生の短篇

その昔、高校のころ、現代国語の教科書に載っていて、授業でも教わった短篇小説が、いまでも記憶に残っている。作者は梅崎春生、というのは覚えているのだが、タイトルを忘れてしまった。が、ときどき思い出すんだな、これが、不思議と。

内容はこんな話し。

若い独身男性が、迷い込んできた猫といっしょに暮らすことになる。ある日、その猫は男性が間借りしている部屋から見える大通りで車に轢かれ、ぺしゃんこになって死んでしまう。男性は部屋の窓から、その猫の死骸が往来する車につぶされ続け、段ボールのように平べったくなっていき、しだいに死骸がタイヤの圧力ではぎ取られていくのをじっと見ている。そしてとうとう、最後の一片がはぎ取られ、跡形もなくなってしまう...。


こうして粗筋を書くと、「何これ?」というような小説に思えるけど、なぜか印象に残っている。
先日、たまたま近所の図書館で借りたい本がなかったので借りてきた
 『ちくま日本文学全集 梅崎春生』(筑摩書房)
を読んでいたら、偶然にも、その短篇があったのだった。

タイトルは『猫の話』。
いちおう独立した短篇のようだけど、『輪唱』という、3つの小短篇からなる作品の真ん中に位置する作品。それぞれの小短篇は順に、『いなびかり』『猫の話』『午砲』となっている。
もしかすると、そういった作品の背景は、高校の授業ではちゃんと習ったのかもしれないが(たぶんそうだろうけど)、いまやまったく記憶にない(現国のセンセイには申し訳ないが...)。で、あらためてこの『輪唱』を全部読むと、タイトルのとおり、3つの小短篇が微妙につながっていて、なかなか面白い。教科書に載るのも、分かる気がする。

この『ちくま日本文学全集』の巻末にある略歴によれば、梅崎春生って直木賞を受賞しているんだな。教科書に載るような人だから、てっきり芥川賞かなんかをもらっている純文学系の作家だとばっかり思っていたので、『輪唱』という作品の全貌ともども、ちょっとした発見だった。

補足:
この『猫の話』の件、じつはネットで検索するとけっこうな件数がヒットする。
『猫の話』という小短篇が、高校生にとってはけっこうインパクトがあったということなんだろう。いまの教科書にも載っているんだろうか。
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by t-mkM | 2010-03-26 00:50 | Trackback | Comments(0)
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