あつい。
それにしても、あつい。 こう暑いと、ノートパソコンの上の乗せている両手がつねに汗をかくことになり、きわめて不快だ。仕事をする気力も失せてくる。 夜は夜でタイマーをかけているエアコンが切れると、とたんに暑くなり、暑さで目が覚めてしまう。そうすると、することもないので、いきおい本に手が伸びる。そんなこんなで、夜中の読書がはかどる...。 『下流志向』内田樹(講談社文庫) 数年前に単行本で出たとき、そのなんともなタイトルと、当時売れていた同じような題名の新書の内容からどことなく敬遠していたけど、いつの間にか文庫に落ちていたので手にとった。 講演で話した内容に手を入れてまとめたものらしい。 学びや労働から逃避する日本の子ども・若者の実態を、すべてをビジネスの言葉で語ろうという昨今の風潮や「不快という貨幣」なんていうキーワードによって解明していく。講演を下敷きにしているだけに、小難しいテーマではあっても分かりやすい。ただ、繰り返しが多いけど。 読んでいるといくつか疑問もわくのだが、質疑応答まで文章化してあってなかなか用意周到。オジサン・オバサンとしていまの若者を理解するための参考になるかも? 『白鍵と黒鍵の間で』南博(小学館) 菊地成孔といっしょにやったりしているジャズ・ピアニストによる若き日の自伝的エッセイ。これが最初の本で、続編も出ているらしい。 音楽高校に在学中、キース・ジャレットの『フェイシング・ユー』に衝撃を受けてジャズにのめり込んでしまい、エスカレーターである音大の受験に失敗。二浪の末に別の音大に入るものの、小岩などのキャバレーで演奏しては小銭を稼ぐ日々。で、ひょんなことから銀座の高級クラブでピアノを弾くことに。ときは80年代後半。バブルで華やぐ銀座での著者の経験が、これがじつにオモシロイ。ひと癖もふたクセもあるバンマスやバンドメンバーとのやりとり、"その筋"のボスが来店するときの店内の様子、フツーのサラリーマンがかせぐ何倍もの収入があるものの、ジャズ・ピアニストとして鬱積していく不満、やるせなさ...。 この人の演奏はCDを1,2枚聞いたくらいだけど、こんなにも読ませる文章が書ける人だとは知らなかったなぁ。 映像化するとオモシロイかも。
by t-mkM
| 2010-07-23 01:05
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