すでに11月か。
そういえば今年の「神田古本まつり」は天候にめぐまれなかったですね。 年に一度のお祭りだしと、2日(土)昼過ぎに神保町方面へと繰り出してはみたものの、すずらん通りのブックフェスティバルを見ようか思ったところで雨がポツポツ…。まあ雨を気にしながら古書店をめぐるのはメンドウだし、ふだんは見かけない佇まいのオジサン・オバサンにやや怯んだこともあって、いつもの店で数冊買い込むも、結局一時間ちょっとで退却。 そして翌日曜日。 いい天気でもあることと、なんとなく古本的に消化不良ぎみ? なので、懲りずにまた神保町へ。 午後の予定を気にしつつ、神保町ブックフェスティバルを足早にひと回りして、この日も数冊ほど購入。例年そうだけど、ものすごい人出だ。しかも、年々増えているような気がするのは気のせいか? そのためもあるんだけど、今年は古書店店頭や神保町交差点などで賑わっていた青空古本市をまったく見ていないのであった。 で、最近読んだ本から備忘録的にメモ。 まずひとつめ。読んだというより眺めたくらいですが。 『東京右半分』都築響一(筑摩書房、2012)
定価6000円!インパクトのある表紙もさることながら、ブツとしてのボリュームといい、中身の濃厚さといい、パラパラ見ているだけでも「お腹いっぱい」という感じである(もちろんホメ言葉です)。 内容紹介には、<この都市のクリエイティブなパワー・バランスがいま確実に東、つまり右半分に移動しつつあることを、君はもう知っているか。>ともある。スカイツリーが開業して東京の右側=東側における人の流れは変わったのかどうか、よく知らないけど、東京生まれでも、長年都内で暮らしている人であっても、”あなたの知らない東京”が見られることは確実。一つだけあげると民謡酒場。じつは都内”右側”にはけっこうあるようなんだけれど、これは沖縄でいえばカチャーシーをお客さんみんなで踊る居酒屋であるし、沖縄紹介にもよく出てくる。ところが、都内で目にする東京の観光案内では、これまで「民謡酒場」なんて見たことなかったよなぁ。 読みすすめると、マンションに私設図書館を作った人が取りあげられており、ナント以前、とある古本市の打ち上げでご一緒した跳花亭さんその人が。話しには伺っていたのだが、本はもちろんレコードその他もけっこうな収集量で、あらためて驚く。なんだか意外な”対面”。 ふたつめは珍しくマンガ。 『海獣の子供 全5巻』五十嵐大介(小学館 IKKI COMIX) (ちなみに画像は最終巻) 日本漫画家協会などで優秀賞に選ばれるなど、すでにマンガの世界ではけっこう話題になっていたようで、いまさら取りあげるのもナンなのだが、先月、維新派の犬島公演「MAREBITO」を観に行った際、終演後の屋台村で偶然にも松本雄吉氏と話したときに氏がこのマンガについて触れていたこともあって、読んでみた。
まず、描かれる絵の密度というか、詳細な書き込みぶりがスゴイ。 いまどきは劇画なんて言わないだろうけど、海流に乗って移動する魚たちの群れや、海の中でのクジラの動きやその腹にある模様などなど、緻密というほかない。しかも最終巻にいたっては、セリフもなく海中のシーンだけで延々とストーリーを進めていく画力(というか腕力?)にはただ驚くばかり。 話しとしてはややスピリチュアルがかっているのが気になるものの、テーマとしては途方もなく壮大で、時間軸にすればゆうに人類の歴史を越えようか、というものではある。じゃ、そんなデッカイ構想が十分に展開しきれているのか?、と言えばこれはなかなか微妙なところではあるか(最終巻は賛否両論のようだし)。解かれないままの背景やナゾが残ってはいるけど、それはそれで物語の”余韻”としながら、最終巻まで十分に楽しめた。 それで、先月観た維新派の犬島公演「MAREBITO」の内容を思い返しながら、このマンガを読みすすめていったわけだけど、海を舞台にした壮大なるテーマと、犬島での「MAREBITO」公演の内容とが、どこか響き合っているようにも感じられたのは確か。
by t-mkM
| 2013-11-07 01:21
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