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椿組・花園神社野外劇『廃墟の鯨』を観てきた

水族館劇場を通じて知り合ったMさんに誘われて、またしても野外演劇の公演を観てきた。

 椿組2014年夏・花園神社野外劇
  東憲司(劇団桟敷童子)作・演出 『廃墟の鯨』

  ■2014年7月12日(土)~23日(水) 全12公演
  ■新宿花園神社境内特設ステージ
  ■木戸銭:指定席4500円 自由席4000円 当日自由席4300円
  http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/haikiynkujira.html

観に行ったのは舞台初日の12日(土)。
土曜日だからかなのか、初日にも関わらず満席。(初日だからこそ、か?)
椿組を観るのはもちろん初めて、そして新宿・花園神社で野外劇を体験したのも初めて。

戦後すぐ、廃墟となってバラックが立ち並ぶ海辺の街を舞台に、ヒトクセある復員兵が流れついたところから物語が始まる。進駐軍との利権をめぐるやくざの抗争、そんな抗争に翻弄される娼婦たち、そうした街の動きに右往左往するバラックに住む人々…。
敗戦後の混沌とした世情を背景に、海辺の街のさまざまな人々の思いと日々の生活とがダイナミックに交錯する群像劇、とでも言えばいいか。

作・演出が東憲司ということもあり、以前なんどか観たことがある「劇団桟敷童子」をほうふつさせる場面が多く、やや既視感があったのはまあ仕方がないのかな。
でも、40人ほどの役者たちが舞台いっぱいに使ったいきなりのオープニングには驚かされたし、あれだけの役者たちのキャラクターをテンポのいいセリフによって描き分けながらグイグイとすすんでいくストーリー運びはさすが。(ただ途中、敵・味方の立場がひんぱんに入れ替わるもんで、所々で「んっ?」と思ってしまうところもあったけど)
戦後の廃墟を舞台としながらも、どこか「3.11」後にも通じるところがあり、はからずも、ただいま現在の政治状況や世間の動きが透けて見えるかのようでもあった。

それと、これはMさんも強調していたことだけど、舞台セットとその使い方はちょっと新鮮で、見るべきものがあったなぁ。
「野外公演、舞台、鉄パイプで組んだテント小屋」とくれば、どうしても水族館劇場が頭に浮かんでしまう。水族館劇場のように舞台が回転したり左右に割れたりといった大がかりな仕掛けはないものの、神社境内の地面と舞台セットとを、ライティングによって使い分けたり、ちょっとした場面転換で水を落としたり(これも水族館劇場とは比べものにはならない量だけど)、また水族館劇場のような緻密に作り込んだセットには及ばないものの、舞台やセットがスピーディーに転換していく動きがとにかく印象的だった。

まあ、別に比べることでもないんだけど、個人的には今回の椿組の舞台を観たことで、水族館劇場の立ち位置が(いろんな意味で)より分かったような気がしたのだった。
by t-mkM | 2014-07-15 01:43 | Trackback | Comments(0)


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