昨年、岡山にある離島・犬島で行われた維新派の野外公演「MAREBITO」につづいて、今年も維新派の野外公演を観るため、先週末、こちらも一年ちょっとぶりとなる大阪へ行ってきた。
今回、維新派が本拠地・大阪で10年ぶりに野外公演を打つ、ということで、周辺ではそれなりに話題になっていたようではある。 たとえばココ→ http://lmaga.jp/blog/news/2014/07/ishinha2014.html 維新派 2014年新作野外公演「透視図」 公式サイト→ http://ishinha.com/SP/2014/ 今回の大阪行き、昨年の犬島でもご一緒した、水族館劇場つながりのMさんご夫妻と行ったのだけど、当初はせっかくの連休だし、観劇後は大阪で遊ぼう!と予定をたてていた。が、数日前になって、「今年最大!」とか「最強」などと言われた台風19号の予想進路が、「13日には予報円の中心が大阪辺り」というので「えっ…」となり、急遽、予定を変更。ホテルのキャンセルやら新幹線の指定席を取り直したり…、あたふたと対策に追われたのであった。 いやはや。 (で実際、JR西は13日午後4時以降の列車をすべて止めた) そうは言っても、行きの新幹線ではもちろん4人で向かい合い、車内宴会を繰り広げつつ大阪へ。 3連休の初日というせいか、乗り合わせた人々もどことなく浮ついた印象で、ま、それほど迷惑ではなかったようである(と信じたい)。 今回、会場となった場所は大阪市のほぼ中央、中之島GATEサウスピアという、川べりの埋め立て地。複数の川が合流する地点で、特設舞台の向こうには大阪中心部に建つビル群の夜景やら、川面に映る明かりなど、”水”という共通点はあるものの、昨年の犬島とは大きく違う借景が広がっていて(あたり前だ)、これもなかなか。 我々が観たのは公演初日の11日(土)。 19時開場、19時半に開演だけど、これもいつものように屋台村は17時から。ジャズ・バンド風に楽器を演奏しながら、自らマジックやらパフォーマンスを繰り広げるグループが注目を集めていたっけ。 また川べりの特設舞台は、事前にアナウンスされていたとおり、晴れてはいたものの川をわたる風を受けてけっこう冷える。公演が始まるとコート代わりなのか、合羽を着込む人もいたし。 公演は28日までつづくので、詳しくは書かないけど、これまでにいくつか観た維新派の野外舞台の趣向とは少し異なり、都市というか、もっと言えば大阪という場所をより意識した舞台セットのように感じられた。 2時間の公演は、白塗りの役者たちが集団で機械的な動きを繰り返す、維新派独特のパフォーマンスはそのままに、舞台セットも関連していつも以上に断片的でミニマルな動き。所々で差しはさまれるセリフは、過去から現在までさまざまな立場、いろいろなものを背負った人による発話のようで、大阪の地名が出てきたり、ネオンの明かりが映えて遠く見える梅田周辺の借景ともあいまって、「都市・大阪」を時空を超えて重層的に描いている、そんな気がした。 (ちなみに、今回は公演では開演前と終演後もふくめて撮影は禁止。「へぇ」と思ったけど、これはこれで見終わってみれば納得がいく) そして内橋さんの音楽は、舞台の動きと呼応しながらも、いつもより叙情的だったり、時にはノイジーな音を響かせたり、今回も強く印象に残った。維新派の舞台を観るたびに感じることだけど、やはり維新派の公演における内橋さんの音楽がしめる位置というのは、かなりの比重ではないだろうか。 (そういえば、”維新派の公演というのは内橋さんの視覚付きライブである”、みたいな言及をネットで見かけたけど、音楽を主軸に見るならそうなるのか?) いつにも増してアブストラクトなシーンを折り重ねながら、”大阪”という都市空間を独自の角度から描くかのような舞台を観ながら、松本さんという人はアバンギャルドであることよのう、と思わされた夜だった。
by t-mkM
| 2014-10-17 01:18
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