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『インターステラー』に圧倒された昨年末

年明けのエントリで「すごい!」と書いたきりだったので、ここらあたりで『インターステラー』について。

ホントに良かった(スゴかった)ので、109シネマズ木場のIMAX上映を、1週間おいて2回観た。こんなことは、たぶん初めて。
いちおう、解説やストーリーを載せておく。以下は「YAHOO! Japan 映画」からの引用。
http://movies.yahoo.co.jp/movie/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A9%E3%83%BC/349221/story/

<解説>
『ダークナイト』シリーズや『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督が放つSFドラマ。食糧不足や環境の変化によって人類滅亡が迫る中、それを回避するミッションに挑む男の姿を見つめていく。主演を務める『ダラス・バイヤーズクラブ』などのマシュー・マコノヒーを筆頭に、『レ・ミゼラブル』などのアン・ハサウェイ、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインら演技派スターが結集する。深遠なテーマをはらんだ物語に加え、最先端 VFXで壮大かつリアルに創造された宇宙空間の描写にも圧倒される。

<あらすじ>
近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。

まずは、ネット上にすである感想から2つほど。

○「インターステラー」55点 足るを知らない大国人(by <超映画批評>)
http://movie.maeda-y.com/movie/01927.htm
わりと気が合う「超映画批評」さんだけど、この映画に関してはちょっと感想がズレた。

○『インターステラー』視覚化せよ!ブレーンワールド(by <k.onoderaの映画批評>)
http://k-onodera.net/?p=1584
こちら、映画のハードSFな側面についても真正面から説明していて、映画史的な位置づけまで全面展開している感想、というか解説ですね。参考になります。

こんな感じで、すでにしてあちこちで様々な感想やら読み解きが書かれている。なんで、いまさらこの辺境ブログで何を書けば? という気がするけど、思うところをつらつらと書いてみる。

○やっぱりキューブッリックはスゴかった!
浅田彰が、「これは『2001年宇宙の旅』のアップデート版だ!」みたいなことを書いていた。
http://realkyoto.jp/blog/interstellar_christopher-nolan/
彼のみならず、ノーラン監督自身もキューブリックの『2001年宇宙の旅』へのオマージュを隠していないし、観る前にネットで見つけた『インターステラー』の感想に、「『2001年宇宙の旅』で何が言いたかったのか、この映画を観てようやく分かった」というようなツイートも見かけていたので、1回目を観た後に『2001年宇宙の旅』をDVDで見直してみた。(我ながら好きだよなぁ、とも思うが)

見直してみて、たしかに浅田氏の言うこともさもありなん、と思えた。とりわけ、『2001年宇宙の旅』後半、光にあふれる時空のトンネルを抜けてからの展開は、セリフもほぼ無いし、哲学的で深淵な感じがしてよく分からないんだけど、『インターステラー』を観た後では手がかりが増えた感じで、さまざまに考えられる(ような気がする)。

○「愛の力」は第5の力か?
映画の中盤、主人公とともに宇宙船に乗り込んだアン・ハサウェイ扮するアメリアが、自らの感情を吐露しながら「愛の力」について語る場面がある。1回目に観た時にはやや空疎で上滑りな感じがしたのだが、結末が分かった上で観ると、また印象が異なって聞こえる。

じつは物理学では、いまだくすぶっている問題として「第5の力」というのがある。
自然界には「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」(それぞれの説明は別に調べてください)という4つの力があるのだが、これに加えて「5番目の力」があるのでは? というもの。現時点でこの「5番目の力」というのがどうなっているのか、よく知らないのだが、この映画で言われる「愛」は、明らかにこの「5番目の力」を意識していると思える。

○クレジットに出てこない有名俳優が、わりと重要なシーンに出てくる
このシーンのある部分は蛇足、とする意見もあるようだけど、そうは思わないな。
(観てないと何がなにやら不明でしょうが)この場面、この有名俳優をサプライズ・ゲスト?として当てたのは、その役どころがおおいに愚かな行動を取るからこそ、その説得力を増すために当てられたサプライズの有名俳優、なんでしょうね。なかなかニクい演出ではないかと。

○SF映画や宇宙ものを観ている人ほど楽しめる
ノーラン監督が影響を受けた映画としていくつか挙げた中に、「コンタクト」がある。2回目を観た後、こちらもDVDを借りて観たのだが、振り返ってみれば話の骨格が『インターステラー』と似ている。たぶん、映画のストーリーは「コンタクト」を下敷きにした、少なくも大いに参考にしたといえるのではないか。
そんな感じで、先行するSF映画や宇宙もののジャンルのオマージュといえる部分が(ワタクシにはよく分からないけど)あちこちにあるようである。なので、後々も繰り返し楽しめること請け合い。

と、いくつか書いたけど、まったくもって言葉足らずにしかなってないので、この映画のスバラシさを百分の一も伝えられていない。「ハードSFを忠実に具現化した」とか「父親と娘の、愛と絆の物語」という側面ももちろんあるわけですが、そうしたワクには収まりきらないスケールと懐の大きさが、この映画の魅力なんではないかと思うわけです。
とくにメッセージ性がある映画ではないけれど、観終わってみて、「上を向こう」「前に進もう」といったようなことがじんわりと、でも確実に伝わってきた。

まあ、ようするに、「とにもかくにも映画館でぜひ観て!」というのが結論ではあります。
by t-mkM | 2015-01-14 01:22 | Trackback | Comments(0)


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