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『断片的なものの社会学』ブックフェアのリーフ

近所の本屋で、たまたま『断片的なものの社会学』ブックフェアのリーフレット(と言うのだろうか)があったので、もらってきた。
この本については、すでに書いた。→フツーの人々の語りからのぞくもの

この本の著者である岸政彦氏が、2つのカテゴリーで選書してコメントを書いているのだが、いくつか「へぇ」と思ったので、以下メモ的に。

ひとつめのカテゴリーは「民俗学・人類学・社会学の、ライフヒストリー中心」というもので、著者の専門とするジャンルのよう。
この中の、
『やきもち焼きの土器つくり』クロード・レヴィ=ストロース、渡辺公三訳
 (みすず書房、1997)
で、岸さんはこんなことを書いている。

…各地に伝わる神話を大量に集め、物語から物語へ、モチーフからモチーフへ、プロットからプロットへ自由自在に移動し、ヨタカ、土器つくり、火、ナマケモノ、流れ星たちの謎が解き明かされます。文字で書かれた「ゴルトベルグ変奏曲」のようです。

もうひとつあげると、
『真理と解釈』ドナルド・デイヴィッドソン、野本和幸訳(勁草書房、1991)
ここでは、こう書いている。

あまりにそっけない、必要最小限の言葉で書かれた、超難解な哲学書。私もこれを「理解できた」とはとても言えません。でも、何かについてのことを一生懸命に考えていると、その果てにふと、「これってデイヴィッドソンが言ってたな…」と思うことが、よくあります。…


もう一つのカテゴリーは、「小説、絵画、マンガ等」。
ここで目をひいたコメントは、『IT』S.キング(文春文庫、1994)のもの。

これまで読んだ本でもっとも影響を受けたのがこの本です。ストーリーテリングとはどういうものかを知りたければ、この本をおすすめします。…

この本、いまだに読んでない。というか、キングってじつはあんまり読んだこと無いんだけど、『IT』ってそんなにすごいのか。

そして、『タイタンの妖女』カート・ヴォネガット・ジュニア(ハヤカワ文庫SF、2009)のところでも、

学生のときに読んで、現実に戻ってくれなくなる(原文ママ)ほどの衝撃を受けました。……これをはじめて読んだとき、こんなにめちゃくちゃな話で、自分がなぜこれほど泣いているのか、自分でもよくわかりませんでした。

とあって、「ふーん」と思った。
このカート・ヴォネガットという作家も、いまだ未開拓の人なんだよな。

ほかにも手を伸ばしてみようかな? と思わせる本がいくつか紹介されており、個々のコメントも興味を引かれるので、(ワタクシのように)ブックフェアに間に合わなかった方は、このリーフを見かけたら手に取ってみては。
by t-mkM | 2015-11-25 00:48 | Trackback | Comments(0)


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