リニューアルのため、長らく閉鎖していた近所の図書館がようやく再開したので、ひさしぶりに足を運ぶ。真新しくなった館内はやっぱり新鮮で、「へぇー」と思いながらウロウロしていると、こんな本が目にとまったので、借りて読んでみた。
『円山町瀬戸際日誌』内藤篤(羽鳥書店、2015) 内容はといえば、「名画座シネマヴェーラ渋谷の10年」という副題にあるとおり。弁護士を本業とする著者が、館主として2006年に開館した名画座における10年間の悪戦苦闘?ぶりを、軽快な筆致でつづったもの。 「もし宝くじが当たったら、映画館(名画座)を作ってみたい!」というのは、映画などのエンタメ好きなら誰もが一度くらいは妄想することだと思うが(そんなことはない?)、言ってみれば本書は、そんな妄想を実現させてしまった方による、名画座の日々、である。 とはいえ、現実にはもろもろの困難があり、常に上映作品の選定やプログラムづくりに悩み、上映にあたっては各種各方面に気を配り、客の入り(不入り)に一喜一憂し…、まったくもってお気楽ではやれないことがよーく分かる。そりゃそうだ。 名画座館主の日誌なので、こちらのまったく知らない、マイナーな映画の題名がこれでもかと出てくるものの、ノリのいい文章もあって、テンポ良く読ませる。 印象に残ったことを箇条書きにしてみれば、 ・こんなにも毎日のように映画館の空間で映画が見られるとは(しかも館主だ!)、まことにうらやましい. ・けど、こりゃ相当に映画好き、映画愛にあふれていないと、身が持たないのでは? ・プログラムづくりには、けっこうな、いや相当な気苦労があるんだなぁ. ・本格的なデジタル化時代を迎え、名画座にとって映写機関連の費用はけっこう、いやかなり?痛そうだ. てなところ。 巻末にある、開館以来のシネマヴェーラ渋谷でのプログラムを眺めているだけでも、いろいろ楽しめる。また、あとがきのちょっと苦い回想も、本文とは感じを異にしていて、なかなか味わい深い余韻を残す。
by t-mkM
| 2016-07-27 01:02
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