『ガンルージュ』の主人公って…

『機龍警察』シリーズにハマッて以来、新作が楽しみにしている月村了衛なんだけど、図書館をウロウロしていて、その新刊があったので手に取った。

『ガンルージュ』月村了衛(文藝春秋、2016)
韓国の大物工作員キル・ホグン率いる最精鋭特殊部隊が日本で韓国要人の拉致作戦を実行した。事件に巻き込まれ、人質となってしまった中学1年生の祐太朗。日本政府と警察は事件の隠蔽を決定した。祐太朗の母親で、かつて最愛の夫をキルに殺された元公安の秋来律子は、ワケあり担任教師の渋矢美晴とバディを組み、息子の救出に挑む。
因縁の関係にある律子とキルの死闘の行方は。そして絶体絶命の母子の運命は――。
なんだか説明しすぎのようにも思うけど、以上はアマゾンの内容紹介から。
これだけ読むと、冒険アクションもののように想像される。まあ、女性ふたりの主人公による冒険アクション、というのはそのとおりなのだが、ちょっとした趣向というか、国産ミステリを読んでいる方なら誰でも知っているであろう有名シリーズの登場人物を彷彿される人物が、主人公の片方だというのが、本書の大きな特徴。

<以下、ネタバレを含むので、未読の方はご注意を>



…というか、もう冒頭から笑える。
「ワケあり担任教師の渋矢美晴」というのは、その人物描写からどうしたって『新宿鮫』で鮫島の恋人である晶をイメージするし、その美晴の、「公安から目をつけられている新宿署の警部」という元恋人は、鮫島を思い浮かべざるを得ない。
とはいえ、もちろん『新宿鮫』とはまったく別の設定。晶よりもヤンキー風味の増している美晴が笑えるパートだとすると、もう一方の主人公である律子は、シリアスなパートと言えるか。この両者が、祐太朗の拉致という事態から急遽、成り行き的にバディを組み、救出に向かう。

対峙するのは、韓国の最精鋭の特殊工作部隊。
いま、韓国大統領の疑惑がニュースで話題だけど、韓国の財閥との絡みなど、偶然とはいえ、この著者が小説に絡めてくる現実の国際情勢とのリンクぐあいには、(じつはそう関係ないのかもしれないけど)ちょっと驚く。

またその救出劇には、「そんなのあり得ないだろ」的な場面もあるものの、それらも強引に(とりあえず)納得させながら突き進むところが、この著者らしいと言えば言える。

とことんエンタメとして楽しむ読書向き、です。


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by t-mkM | 2016-11-09 01:30 | Trackback | Comments(0)
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