今回読んだ本、真っ赤な背景の真ん中に、バーバリーチェックのキャップが配され、上下にタイトルと著者名がデッカく書いてある表紙がとても印象的。
『チャヴ 弱者を敵視する社会』オーウェン・ジョーンズ/依田卓巳(海と月社、2017) 以下はアマゾンの内容紹介から。 サッチャー政権の誕生から今にいたるまで、イギリスで推し進められてきた新自由主義。 この著者の名前は、以前からブレイディみかこ氏のブログや記事でよく見かけていた。けど、まとまった著作を読んだのはこれが初めて。 "チャヴ"とは、労働者階級、とりわけ白人労働者階級をさす言葉としても使われるそうだけど、いまや「労働者階級に関連した暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存など、あらゆるネガティブな特徴が含まれてる」そうである。 政権の閣僚や政党の有力者、有識者、大学の研究者からコラムニストに至るまでの発言を俎上にあげ、イギリス社会の現状について、いかに特権階級にいる彼らがその実態を歪めて伝えているのか、そして、労働者階級はじめ弱者を敵視するような社会へと導いてきたのかを、これでもかと暴いていく。 新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などあらゆるマスコミに載った情報をもとにしており、外国人である身としては、固有名詞の連発にやや読み疲れをさそう面があり、また似たような主張が繰り返されているような感じがあるものの、著者の筆の勢いは最後まで一貫している。 サッチャリズム以降、「階級は存在しない」と言われているそうだけど、まったくもってそんなことはなく、上層の階級と労働者階級をはじめとするそれ以外との対立は、じつはずっと続いていることを、保守党の言動などから明らかにしていく。そして、労働者階級の人々が"階級闘争"をしだいに弱めてしまっている反面、いかにして特権階級がそれ以外の人々からの支持をなりふり構わず集めてきているのか、ズバリと指摘する。 読んでいて、90年代初めのバブル崩壊以降からこっち、日本における政治状況がいやでもアタマをよぎり、「これって日本でも当てはまるよな」と思わざるを得ない。 ブレイディみかこ氏も言われていたけど、いまや右・左ではなく、上・下での闘いなんだ、と改めて実感させられたしだい。
by t-mkM
| 2017-09-07 01:09
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