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気になる雑誌の記事

いくつかの雑誌から。

まずは『文学界』2008年2月号。
このところの『文学界』は、あっちこっちからすごい勢いで本が出ている佐藤優氏による連載「私のマルクス」を読むのが目的になっている。
この号では他にも、「世界文学は越境する」と題した池澤夏樹・鴻巣友季子・沼野充義の3氏による対談や、大西巨人のロング・インタビューなどがあるけれど、それらはまあ置いといて、連載第11回という高田明典「メディアフィロソフィー」から。
以下、興味をひいた部分(p267)を適宜要約しつつ引用してみる。

「誇示型消費」、つまりブランドバッグや高級自動車など「機能」よりも他人に対して「見せる」ことに意味のある消費行動がある。しかし、これにはカネがかかる。でもそれは当然で、「多くのカネを持っている」ことを間接的に示す意味があるからだ。
よって、誇示型消費には「しなければならない層」と「しなくてもよい層」が存在する。要するに「金持ちではないと思われる可能性のある層」だけが誇示型消費を必要とする。たとえば、ルイ・ヴィトンのバッグは価格の安い方から「モノグラム、ダミエ、エピ」と進む。モノグラムではLVのロゴ表示が大きく、エピになると外から見てそれとは分からなくなる。これは富裕さの度合いが高くなるほど「外部表示の必要性」が小さくなるため。逆に富裕層どうしで会う場合、表示の大きいものでは「下品」と思われかねない。ヴィトンやベンツやロレックスは、選び方によってはとても下品になってしまうということだ。

いやー、分かりやすい。
つねづね、「若い女性の方々がやたらとルイ・ヴィトンのバッグを持っているけど、なぜ大してカッコ良く見えない(もっと言うとカッコ悪い)のか?」と疑問だったんですが、この説明で腑に落ちました。
なるほどね。

続いてアスペクトのPR誌、『アスペクト』2008年1月号。
このPR誌、なかなか読みどころがあって、お得です。先日、芥川賞を受賞した川上未映子さんもエッセイを書いている。

この号での注目したのは、末永昭二という人の連載で「第10回 電気系文学(1)ー鮎川哲也と真空管アンプー」という記事。
なんでも、『電波技術』という雑誌の昭和47年3月号に「オーディオマニア訪問」という記事があって、そこには推理作家の鮎川哲也のお宅訪問記事が出ているのだとか。しかもこの『電波技術』の記事には、「掲載前に鮎川のチェックが入っていないようなのだ」そうで、あまり自分を語らなかった鮎川の生の声が表れているようなのだ。
ちなみに末永氏の文中には鮎川のエピソードとして、「執筆中の面会は絶対に謝絶」「写真を撮られるのが大嫌い」「競馬が嫌いだから絶対に作品に出さない」といったことが出てくる。それに鮎川はオーディオ機材にも詳しかったようで、なんと驚くことに、パワーアンプとスピーカーは鮎川自身の制作とのこと。ちなみにこの自作真空管アンプは、末永氏の記事中にも写真が出ているけど、けっこう本格的。鮎川さんって、「アキバ趣味」の持ち主でもあったらしい。(いまのアキバは違うようだけど)

そうそう、昨日手に入れたこちらもフリーペーパーの「R25」に、菊地成孔のインタビューが載っていた。
売れてるなぁ、菊地成孔。
「不良の香り」という出だしだっただけど、不良ねぇ。というよりも、「夜、地下室、煙草、酒、...」というイメージか。いまどき流行らない「不健全、不健康」というか。
インタビューの最後の部分が、なかなかよかった。
いずれにせよ、このまま(ロハスとかに突如改心せずに)突っ走ってほしいものです。
by t-mkM | 2008-02-15 23:45 | Trackback | Comments(0)


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