例によって一ヶ月前の雑誌で、朝日新聞社から出ている月刊誌『論座』の2月号をパラパラと。
「新春に考える日本の課題」という特集があって、前回のエントリで取り上げた鶴見俊輔さんがちょっと長めの談話を寄せている。タイトルは「今必要なのは、時代を超えた累積的なものの見方でしょう」。 この中で、鶴見さんは乙川優三郎『武家用心集』を取り上げている。 「これは読んで大変びっくりした。徳川時代の家族の話がいろいろと書いてあるんですが、そこから、現在の日本の我々の暮らしを望遠鏡で見ている感じがする」のだそうで、「その望遠鏡で逆に見ると、今の日本の暮らしの意味がはっきり見えてくる」(以上、p29から引用)のだとか。 さらにもう一冊、市村弘正『敗北の二十世紀』(たしか、ちくま学芸文庫か)についても語っている。 「この本の要点は、ヨーロッパの知識人の行き詰まり」だそうで、「「終わり」をきちんと自分のものにする以外に「始まり」はないというのが帰結です」(p31)とある。 この特集では他に、『生物と無生物のあいだ』で一躍有名になった分子生物学者の福岡伸一さんも、「生命、環境...そして自由」という談話を寄せている。 いくつか興味を引かれる指摘があるのだけど、「「合理的な判断」に関しては「真」「善」「美」の三つのフィールドがある」という見方がオモシロイ。やや強引に我流で言い換えてみると、「真」「善」「美」は「科学的な判断」「行政レベルでの判断」「個々人の判断」ということか。 それからこんなことも。 「昨今のスピリチュアルブームが語っている科学と生命のあり方の融合は、どこかで聞いたようなものだったり、昔のSFで繰り返し言われてたことだったりするものばかりで、つまらない。新しいもの、というのは言い換えではなく、解像度が上がっていないといけない。」(p43) 解像度っていうのが、いかにも理系の研究者らしい切り口だな。 そういえば、先日のエントリで書いたHテレビのディレクターの方、あれからお礼の返事が来ていた。 いやいや、さすが(?)テレビ業界。 (このブログまでは読んでいないでしょうけど)こちらこそ、よろしくお願いします。
by t-mkM
| 2008-02-27 22:55
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