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浅草、寄席、ビストロ、倫理

土曜日は、知り合いのご夫妻と私たち二人とで、浅草演芸ホールで行われている「五月中席 真打昇進襲名披露興行」へ。
この日のトリも、前回と同じく日向ひまわりさんだった。

それにしても、この演芸ホール、浅草という場所ゆえなのか、それとも「披露興行」というお祭りのため、滅多にこの手のホールに来ない人々が多いせいなのか、お客さんのゆるいことゆるいこと。芸人が高座に上がっていて話しているというのに、ケータイはあちこちで再三鳴るわ、座席ではのべつ立ったりしてるわ、話し声は大きいわ(オチの解説を大声でやるな!)、まあ、おおらかでいいとも言えるけど。

夕方に終わって地下鉄で京橋に移動し、「ポンディガール」というビストロで飲む。
ワインも食べ物もおいしくて、スタッフの対応も気持ちよい、お値打ちな店。ただ、銀座の外れにあるのにも関わらず、すぐにお客で一杯になってしまうのが難点。

で、今日読んだ本は、『衆生の倫理』石川忠司(ちくま新書)。
先月出た、文芸評論家の著者による最新刊。「衆生」とは大衆の意味らしいのだが、あえてこんなコトバをつかっているところがミソか。

「近現代人はどうしてこんなにも倫理的に無能力なのか。目指すべきところは頭では分かっているくせに、なぜそれがすぐに実行できないか」(p12)
という問いかけからはじまって、行き着く先は、「倫理や道徳は目指すまでもなく、それはすでに「実現」されている」(あとがき)という、「?」で「!」な中身。

「ちくま」5月号に、「正論? いいから黙れよ。」と題した著者自身による解説とメッセージが載っているので、詳しいことはそちらに譲るけど、この一文からしてオモシロイ。
by t-mkM | 2008-05-19 23:55 | Trackback | Comments(0)


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