このところの「つまみ食い」から、オモシロそうな本を3冊ほどピックアップ。
共通するのは、どの本も最初から読んでいく必要はない、ということと、東京本、ということか。 まずは 『東京の階段』松本泰生(日本文芸社)。 副題には「都市の「異空間」階段の楽しみ方」とある。東京の坂道を題材とした本は数あれど、階段だけをクローズアップしたのは本書が初めてではないか。 著者によると、東京には山手線の内側だけで650の階段があるんだとか。この本では都心を中心に130ほどの階段が、写真はもちろん段数、傾斜角度などでのデータ付きで、なおかつ「疲労感」「スリル」といった独自の評価まで加えられて紹介されている。 ちなみに紹介されている階段の段数はというと、130段を越えるものから2段(!)までと幅広い。 写真だけ見ていても、異空間にトリップできる、かも。 つづいては、 『アースダイバー』中沢新一(講談社)。 2005年に出たときけっこう話題になっていたので、いまさらではあるんだけど。 古代に形成された洪積層と沖積層という違いが、現在の東京における「街(町、まち)」の成り立ちにまで影響している、という「発見」が、著者にこの本を書かせたらしい。江戸期など当時の町の状況をいまの東京に透視するような視点は興味深いけれど、ややもすると強引で妄想の部分が多いような。(アマゾンのレビューでもツッコミがあるけど) ま、でも、洪積層と沖積層の分布にいまの東京を重ねた図や、巻末にあるMapを見ながら、著者の“ほとばしる”妄想に身を委ねて散歩に出かけてみるのも、それはそれでオモシロそう。 最後は、古本関連ということで新しいところから 『ふるほん行脚』田中眞澄(みすず書房)。 月刊『みすず』にいまも連載されている、1ページの短いエッセイ5年分を収録。東京以外に名古屋、京都、前橋といったところの古本屋にも足をのばしているので、厳密に言うと「東京本」じゃないかもしれないけど、それはまあ。8割ほどは都内の古本屋めぐりの記録だし。 ただ、著者も「古本屋案内を書いてるわけではない」というとおり、あくまでこの本の主役は古本それ自体、ではある。 とはいえ、「渋谷篇」を見ると、 「地下鉄表参道駅から渋谷に向かう。宮益坂の古本屋三軒から正進堂書店が消えて、いまは二軒」という出だしでタツミ堂書店と中村書店が出てきて、前から同じルートで古本屋めぐりをしている身なので、読みながらちょっとニヤリ。
by t-mkM
| 2008-06-06 23:51
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