この人がこんな本を出しているとは知らなかった。
『SFはこれを読め!』谷岡一郎(ちくまプリマー新書) 谷岡一郎氏といえば、いまや大学の学長(大阪商業大学)で、『ギャンブル・フィーヴァー』とか『「社会調査」のウソ』といった著作(2冊ともオススメです)で知られる方。 とりわけ、『「社会調査」のウソ』の中で、「世論調査なんてのは、どうにでもなる。私に任せてもらえば、望みどおりの結果を出してみせる」といった趣旨のことが書いてあったのには、学長という肩書きに似つかわしくない「タンカ」に、ちょっと驚かされた。 その谷岡氏の勤める大学では、「本を読むだけの授業」を全学的に行っているそうで、本書は谷岡氏による講義をまとめたもの。何でもこの本には、「私が人生で読んだ数千冊のSF本から厳選したもの」が詰まっているとか。 ふたりの学生といっしょに、各テーマにそって谷岡先生がSF本を紹介していく構成は取っ付きやすく、すぐに読めて、しかも情報量は多い。最後には3人による「オールタイムベスト」もついていて、ブックガイドとしても役に立つ。 この本で谷岡氏は、「SFをひとことで表すなら、「人生の哲学」だと思います」と書いている。 で、この本を手にする前に読んだのが、 『幼年期の終わり』アーサー・C・クラーク(光文社古典新訳文庫)。 SFの古典中の古典ともいえる本で、オールタイムベストをやれば必ずランクインする本だけど、読んだのは今回が初めて。 まさしく、哲学するSFそのもの。 書かれているテーマとしては、異星人との接触や人類と新(超)人類といったことになるんだろうけど、発表されたのは1953年。半世紀以上も前に書かれていたことに、クラークのすごさを感じる。 とくに最後の方を読んでいると、先日秋葉原で起こった無差別殺傷事件のことが頭をよぎる...。 ちなみに、この新訳は、1989年にクラーク自身が第1部を修正したものから訳出されていて、本邦初訳とか。
by t-mkM
| 2008-06-18 23:19
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