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2018年 08月 01日 ( 1 )

舞台『マクガワン・トリロジー』@世田谷PT

知り合いから「チケットあるんだけど」と言われ、なんの舞台なのかと聞けば、IRAのテロリストの物語だとか。
「いまどき、IRA?」とも思うが、興味のあるところではあるし、主演は松坂桃李だし、せっかくの機会なので、知り合いからチケット譲ってもらい、観てきた。

 『マクガワン・トリロジー』
  会場:世田谷パブリックシアター
  公演期間:2018年7月13日~29日
  出演:松坂桃李、浜中文一、趣里、小柳心、谷田歩、高橋惠子

以下は「チケットぴあ」にあったチケット情報から

松坂桃李、浜中文一、趣里、高橋惠子ら出演×小川絵梨子演出!IRA(アイルランド共和軍)の殺人マシーンとなった男の暴力性と悲哀に満ちた三年の歳月を描いた話題作が日本初演決定!

当日は台風12号が接近していたけど、とくに支障なく、予定どおりに開催。

土曜の17時半に開演だったのだが、驚いたのは客層。
座席は前から3列目。以前から舞台を観まくっている知り合いだからこそ取れたような席。だから、なおさらなのか、周りを見れば若い女性ばかり。というか、会場全体も似たような感じで、8-9割は女性か。(ま、若いとはいえ、ワタクシから見れば、ですが)
…いやぁ、松坂桃李って、すごい人気なのね。

開演前から、おそらくUKロック、パンクだと思うような曲が会場に流れている。
ストーンズやボウイほか、以前に耳にした曲があれこれ。

第1部、舞台セットは地下のうらぶれたバー。IRAが連絡に使うような、知られていないところのようで、階段にチラシや落書きがあったり。
で、主人公、IRAの殺し屋のヴィクター・マクガワン。その登場からえらいハイテンションで、早口のセリフやその行動から、すべてキレッキレで、ぶっ飛んでいる。そのキレ具合がハンパない。
途中、素っ頓狂に踊っていたバックで流れていたのは、セックス・ピストルズか。

今回の舞台、全体として音楽の使い方がうまかった。
また、ヴィクター自身が「芸術学修士」を取ったとか言われてたし、ジェイムス・ジョイスの詩も出てきたりと、アイルランドという土地を感じさせる。

第1部では、スパイ容疑の尋問がはじまるんだけど、ヴィクター自身のキレッぷりもあって、モヒカン頭のバーテンダーがヴィクターに抱く恐怖感が観ているこちらにも伝わってきて、ラストへ至るところの緊張感もすごかった。

ここで休憩が入り、第2部。

第1部とは一転、夜の湖畔。真っ暗の田舎。
幼馴染みの女性を処刑するべく、車のトランクに女性を拉致して連れてくるヴィクター。女性をトランクから引っ張り出し、でも手首は縛ったまま、女性との二人だけの会話が進んでいく。最後、湖へと向かう女性を背後から撃ったヴィクターが悲しみに暮れる場面で暗転。

ここから暗い中でセットが病院の病室へと変わり、第3部。
ベッドに老女が寝ている病室へ、ヴィクターが窓から入ってくる。顔をアザがあり、血が付いたシャツを着ている。追われている様子。
その老女はヴィクターの母親。どうやら認知症のようで、ヴィクターを弟と間違ったり、言うことに脈絡がない。母親とかみ合わない話しを続けるヴィクターが、どことなくいじらしく見えてくる。
母親を看取った後(これも殺した、のでしょう)、ヴィクターが窓から飛び降りて舞台は終了。

とにかくヴィクター役の松坂桃李、出ずっぱりだしセリフも多いけど、第1部の振り切れぶりから3部の母親との会話で内省するシーンまで、しだいに人間味をまとってくるところなども、見応えがあった。なかなかスゴいのでは。

アメリカで賞も取った舞台を翻訳したようだけど、コメディタッチの悲劇、とはいうものの、セリフの応酬にイマイチついて行けないところがあり、笑うに笑えない感じはあったか。固有名詞が分からないのはある程度、仕方ないにしても、劇中で歌われる歌もいっそ日本語にするとか、もう少しセリフ回しの翻訳を考慮してもいいのでは、とは思った。

パンフレットまではちょっと手がでなかったけど、時代背景やアイルランドという国のことがもっと分かると(地名もよく出てきたし)、さらに入り込めるだろうな。ま、舞台を思い出しつつ、あれこれ調べるのも一興か。
いろんなものを考えさせる、細部が後々までアタマに残る舞台だった。



by t-mkM | 2018-08-01 00:44 | Trackback | Comments(0)