波の記譜法、気になる部分

今日の都心は真夏日とか。
雨が降りつづけているのもイヤだけど、いきなり暑くなるのもこたえる。

日中、古本屋で『波の記譜法 環境音楽とはなにか』(時事通信社)という本が目に止まったので、買ってみる。もう20年前の本だけど、巻末には環境音楽という切り口でイーノやライヒなどのレコードもけっこう紹介されていて、なかなか面白そう。


単行本が2000年に出ていたらしいけど、そのときは気がつかず。最近になって新書で出たこともあって読んでみた。
『気になる部分』岸本佐和子(白水uブックス)

著者はニコルソン・ベイカーなどの翻訳で知られている方。この人が翻訳されている本も変わった作風のようだけど、このエッセイ集を読むと、訳者ご自身も相当にヘンであることがわかる。いやホントに。
この本、読んだからといって、さしあたり何か得することがあるとか、感銘を受けるとか、そういうことはほとんどない。ないけれど、でも読み出すと止められなくなって、なぜだかズルズルと読んでしまう。
そして、あちこちで笑える。
で、笑っているうちに読み終わってしまう。

第2弾は出ないのだろうか。
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# by t-mkM | 2006-06-28 00:24 | Trackback | Comments(0)

シャングリ・ラ

ということで、ようやく読了しました、『シャングリ・ラ』池上永一(角川書店)

手を出したきっかけは、昨年に刊行された国内のエンタメ小説の中で、けっこう評判がよさそうだった(たとえば評論家の大森望氏、など)こと。
著者は沖縄県出身の作家で、これまでにも沖縄や離島を舞台にした小説を何冊も書いていて、ワタクシも1,2冊読んだことがある。

今回の舞台は沖縄ではなく、東京。それも地球温暖化によって都心に激しいスコールが降るくらい熱帯化した、近未来の東京である。こう書くと、同じような設定で近未来の東京を描いた、古川日出男の『サウンドトラック』が思い浮かぶけど(こちらも長い)、まったく異なる読後感。

あとがきによると、著者はこの物語を書きはじめるにあたり、東京のシンボルを探していたのだとか。いろんな人に聞いたが、なかなかしっくりくる答えが返ってこない。で、ある時、ヘリで東京を上空から眺めたさい、すぐにシンボルは見つかったという。それは「森」だそうだ。
そして、この本のもう一つの「核」は、温暖化の原因とされている二酸化炭素の増加をめぐる現在の国際的な情勢までをも、小説の枠組みに取り込んだことだろう。細かいことに目をつぶれば、これからの国際社会における経済ルールまでを(現実っぽく)具体化してみせてくれた小説は、これが初めてかも。

ブ厚い大作ではあるけど、テンポのいい会話とスピーディーな展開でページをめくるスピードは落ちない。しかも、登場人物たちは多彩でごった煮的。(反政府ゲリラの女子総統。その育ての親のニューハーフ。牛車に乗って薙刀を使う集団、などなど)
ただ、後半がややマンガチックになりすぎた感がなきにしもあらず、か。
それでも、スケールの大きな著者の(暴走気味の)想像力には感服。
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# by t-mkM | 2006-06-27 23:43 | Trackback | Comments(0)

藤沢の古本屋、など

昨日は、朝から東京駅へ出て、東海道線で藤沢へ。
Kの独断により、茅ヶ崎の居酒屋に行くことになったので、せっかくだから周辺の
古本屋も回ろうと、早くから出かけたというわけ。

で、感想を書こうと思っていたら、すでにKの日記に
「湘南古本&うまいもの散歩」がアップされている。
あらま。
先を越されてしまった。

藤沢駅周辺の古本屋が、回った順番に書かれているのだけど、
北口の「ブックオフ」が抜けてるぞ。
(結局、一軒当たりで購入した冊数が一番多かったのは、
 ブックオフだったりするのだが...)



このところ、『シャングリ・ラ』池上永一(角川書店)を読んでいる。
近未来の東京を舞台にした、スケールの大きいエンターテイメント。面白いのだけど、比較的小さな活字にも関わらず、2段組600ページの大作。
寝ながら読んでいると手が疲れてしまうこともあって、なかなか読み終わらない。

ということで、感想などは後ほど。

ウラゲツさんのブログを見ていたら、こんなイベントの告知が。
立ち上げ途中のリアル古本屋の店舗でやる、というのにも惹かれます。
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# by t-mkM | 2006-06-25 22:44 | Trackback | Comments(0)

光文社のPR誌、トークイベント

ちょっと前に、退屈男さんやWeb読書手帖さんが取り上げているのを読んで知った、
光文社の新しいPR冊子「本が好き!」
なかなか書店で見かけなかったが、ようやく手にした。

すでに十分な知名度のある出版社だと思うけど、ここに来てあえてPR誌を発行するというのは、Web読書手帖さんも書いていたように、やはり新書での成功が大きいのだろうか。

(タダでもらっておいてナンだが)パラパラと見てて思いついた点をあげてみる。
(1) 女性作家からの寄稿が多い。小説とエッセイは全て女性と言っていいくらい。
(2) メジャーではないけど新人でもない、これから注目されそうな書き手を集めている。
(3) PR誌なのに、自社の宣伝はおろか、広告自体がほとんど載っていない。つまり、読みでがある。
(4) 「ひと駅でわかる最新キーワード」なんてのもあって、リクルートの「R25」も意識している?

第2号、8月号は7月10日の刊行とのこと。


先日、『<ことば>の仕事』(原書房)を読んだけど、いろいろなことが頭の中に残る本だった。と思っていたら、著者である仲俣さんが、この本でインタビューされていた小熊英二さんとトークイベントをやるというので、さっそく申し込んだ。

どんなことになるのか、いまから楽しみ。
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# by t-mkM | 2006-06-22 19:28 | Trackback | Comments(0)

友人のブログ、魔王

大学時代の友人にネット上で古本屋をやっていることを知らせたら、すぐに自身のブログ「じゃのみちはやぶへび」で古本Tを紹介してくれた。
感謝です、サンクス。
この友人、ブログにあるとおりジャニーズのファンで、数年前からはsmapや嵐のコンサートで全国を回っているらしい。ワタクシにとってはそれだけでもスゴイのだけど、加えて演劇や演芸・バレエなどなど、とにかく「生」の舞台を見ることにかけるエネルギーがハンパでない。

職住が接近していることもあって、ふだんの生活圏が3キロ四方くらいに収まっているワタクシとはエライ違いである。
ちなみに、この友人のおかげで、Kとともに歌舞伎座で米朝の落語を聞くことができたりもしている。

このところ、細々とはいえネット上で古本屋を始めたこともあって、本というメディアそれ自体をあらめて「面白い」と感じるようになってきた。これまでの乱読趣味とも相まって、ますます「本ばっかり目に(手に)している」ということになりつつある。
うーん、ちょっとこれではイカンな。
たまには3キロ四方の生活圏から抜け出して行動しないと。


と言いながらも、今日読んでいた本は『魔王』伊坂幸太郎(講談社)

タイトルと、帯にある「世の中の流れに立ち向かおうとした兄弟の物語。」という一文から、てっきり「圧倒的なパワーに対峙する主人公」といったような筋を想像をしてしまう。けれど、それだけではない。
この本、エンターテイメントとしてはめずらしく、ファシズムや憲法、9条改正、国民投票といった、すぐれて今日的で政治的な事柄を大きな背景としている。一方で、この著者の小説らしく、登場人物たちによって交わされる独特のテンポとセンスによるやりとりが、相変わらず絶妙だ。

あえて言えば、上で書いたような背景と、登場人物たちの織りなす日常との「間」に生じている何かが、この本のキモなんだろう。
その「何か」をどう受け止めるのかは、読み手に任されている、そんな感じ。
また、いくつかの謎がそのままで終わっているけど、著者はあえてそうしているようにも思える。

いい意味で読む側から入り込めるスキマのある、「開放系」の小説とでもいえようか。
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# by t-mkM | 2006-06-20 17:44 | Trackback | Comments(2)

仕事が一段落

勤め先で急ぎの要件が発生したこともあって、このところ仕事がたてこんでいたのだけど、無事に乗り切ることができてホッとする。
関係者が事前に予想される「難局」をさまざまに想定していたけれど、さいわい、そういう事態にもならなかったし。
ま、よかったよかった。

それにしても、組織というのはいろいろとメンドウだな、まったく。
普段はあまり意識しなくてもすんでいるが、たまに「組織の一員」ということを思い知らされる。



話しかわって、最近よんだ本は『動物園の鳥』坂木司(東京創元社)。探偵役がひきこもりという設定のミステリー仕立ての小説。

動物園の中で虐待された跡のある猫が連続して見つかり、ひきこもりの探偵役が、語り手である探偵役の友人らとともに、その謎を解いていく、というストーリー。
こう書いてしまうと、あまり面白くなさそうだが、それは早計。詳しくは書かないけど、登場する人たちが、それぞれに抱えている「傷」にどう向き合うかが、もうひとつの読みどころ。

じつはこの本、ひきこもりの探偵役を主人公としたシリーズの完結編にあたる。
これだけ単独で読んでももちろんたのしめるけど、シリーズを順番に読んだほうが、より印象に残ることは確実。

シリーズは順番に、以下の通り。
『青空の卵』
『仔羊の巣』

ちなみに作者は、性別を明かしていない。
読んでみて、どちらの印象を持つのかは、人それぞれ?
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# by t-mkM | 2006-06-19 19:53 | Trackback | Comments(0)

BGM、ビートルズ

1, 2年ほど前に近所でオープンしたコンビニ風の店がある。
コンビニと違っているのは、営業時間は午前1時までで日曜は休みの点や、雑貨類をほとんど置いていないところか。でも、ティッシュや米が置かれていたり、アルコール類がしだいに充実してきたり、品揃えもオープン当初からはけっこう変化している。
なにより近くだし、重宝している。

そして、何といってもこの店の大きな特徴はBGM。
ビートルズしかかからないのだ。
もうホントに、とことん、ビートルズ。いつ行ってもビートルズのBGM。それもこの手の店としてはけっこうな音量で流れている。

で、べつにこの店に触発されたワケではないけれど、最近、
「THE BEATLES 1」
というCDを図書館で借りた。

このCD、題名のとおり、ビートルズのシングルでチャート1位を獲得した曲だけを時系列に並べたという、分かりやすいと言えばこれほど分かりやすいCDもないだろう、というシロモノ。

でも、あらためてシングル・ヒットの曲を繰り返し続けて聴いていくと、いろいろと個人的な「発見」があった。

まず、イエスタディ、ヘイ・ジュード、レット・イット・ビーの3曲は、ビートルズの中では特異な曲であること。また、中期のころのデイ・トリッパー、ペイパーバック・ライター、イエロー・サブマリンといったあたりが、バンドとしてもっともまとまっていて、充実していたのではないか、ということ。
つまり、これら中期の3曲の印象が思いのほかよかったのだ。

これは、新しい「発見」だった。


帰りぎわ、ビールを切らしていたのを思いだし、上で書いた店に寄った。
そしたら今日のBGMは、なぜかサザン。
「今日はいつものビートルズじゃないんですね?」
「夏はやっぱりサザンじゃないと! って言われてねー」
だと。
誰から言われたんだ?
なんだ、もしかしてリクエストも受け付けるのか?

これからの店のBGMがどうなるか、見もの(聞きものか)だ。
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# by t-mkM | 2006-06-15 01:03 | Trackback | Comments(2)

リゲティ、武満

もう昨日のニュースになるけど、現代音楽の作曲家、ジョルジィ・リゲティ氏が死去した。

べつに現代音楽をよく聞いているわけでも何でもないのだけど、ちょっと前にリゲティの作品集をCDで集中して聞いていたことがあったので、目に留まったニュースだった。
そういえば、キューブリック監督の遺作となった映画「アイズ・ワイド・シャット」の中で使われていた音楽が、ときおりテレビドラマなどでも使われていたっけ。

現代音楽つながりということでもないけれど、(いつものように)遅ればせながら『芸術新潮』5月号を手に取ると、「はじめての武満徹」という特集が組まれている。没後10年で、展覧会も開催されていることとのリンク企画らしい。
(ただし、展覧会は6/18まで)

現代音楽だけでなく、映画音楽や絵など多方面に才能を発揮された人でもあったので、この特集でもさまざまな角度から「武満徹」に迫っている。
この中で、ちょっと「おっ」と思ったのは、武満が装丁した唯一の本ということで紹介されていた、
『中井英夫作品集』(三一書房、1969年)。

実物を見てみたいなぁ。
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# by t-mkM | 2006-06-14 00:19 | Trackback | Comments(0)