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園子温の映画をつづけて2本

DVDを借りて、見た。
『自殺サークル』と『紀子の食卓』。
『愛のむきだし』が、4時間という長尺をまったく飽きさせず面白く見られたので、園子温という監督がちょっと気になったのだ。

K(かんから)が言うには、『紀子の食卓』は『自殺サークル』の続編なんだとか。それで、『自殺サークル』の内容はというと、アマゾンの商品説明から一部を引くとこんな感じ。

石橋凌、永瀬正敏共演によるミステリーサイコホラー。新宿駅ホームで54人もの女子高生が一斉に投身自殺をした事件をきっかけに、各地で集団自殺が頻発し 本格的な捜査が始まる。ショッキングな描写も交えた衝撃作。

たしかにツタヤでは「邦画ホラー」のコーナーにあったけど、「ホラー」ねぇ...。ハッキリ言って、ゾクゾクするような恐怖感を期待するような映画(たとえば『リング』とか)ではまったくない。ただ、冒頭はとくにそうだけど、たしかR-15指定だったかで、描写はかなりグロい(加えてチープとも言えるけど)。
それはまあいいのだけど、物語の中で提示されるいくつもの謎が、なんだか最後まで明らかにされず終わってしまうのだ。ま、謎はすべて解決して終われ! と言うつもりはないけど、消化不良だ。

それで翌日、『紀子の食卓』を見た。
『自殺サークル』は99分だったけど、こちらは長い。159分。ふたたびアマゾンから内容を引いておく。

園子温監督が自著『自殺サークル 完全版』を映画化したミステリードラマ。現実と虚構の間で揺れる人間の本性を描き出す。家族との人間関係に嫌気がさした女子高生の紀子は、家出し東京へと 向かうが…。主演は『手紙』の吹石一恵。R-15作品。

こちらを見ると、『自殺サークル』で「???...」だったことがいくつか判明する。それはそれでいろいろと考えさせられる部分があって興味を引くんだけど、中盤以降は中ダルミしている感は否めない。
上の内容紹介にもあるように、『紀子の食卓』は監督自身が書いた小説『自殺サークル 完全版』を映画化したもので、題名からも想像がつくように、"家族"が主要なテーマだ。
何かヒントがないかと思い、監督のウェブサイトを見ると、『自殺サークル』と小説の『自殺サークル 完全版』との関係が語られている。ただまあ、『自殺サークル』の謎解きは置いといて、『紀子の食卓』はいっそ家族の物語としてまったく別物で再構成したほうが、スッキリ仕上がったようが気がするなぁ。

ちなみに、この『紀子の食卓』、映画の描き方が『愛のむきだし』によく似ている。ということは、『自殺サークル』と『紀子の食卓』は、あの『愛のむきだし』へと至る助走だったということなのか...。
そんなことを、2本つづけて見て、感じた。
# by t-mkM | 2010-05-13 00:46 | Trackback | Comments(0)

西村賢太の私小説

このところ、西村賢太の小説を集中的に読んでいる。
この西村賢太という人、芥川賞の候補になったり、いまの小説の中では特異な作風のせいか、それなりに注目されているようだ。

この間に読んだ順であげていくと、
 『暗渠の宿』(新潮文庫)
 『二度はゆけぬ町の地図』(角川書店)
 『瘡瘢旅行』(講談社)
 『どうで死ぬ身の一踊り』(講談社文庫)
といった感じ。
これまでに6冊ほどの著作が出ているけど、ワタクシが読んだ順番は刊行順ではなくて、バラバラ。

ちなみにその内容について、ウィキペディアでは「作風は強烈な私小説」と書いているけど、まさしくそのとおり。受けつけない人は、最初の数ページを読んで放り出してしまうかもしれない。
ワタクシも最初、小難しい漢字が使ってあったり、やたら自分を語る文章に「入り込めないかもなぁ...」と思いながら読み始めたのだけど、どうしてどうして、これが面白い。クセになるとでもいうか。


本人とおぼしき主人公、滞納した家賃は踏み倒すし、知人からの借金も放っておき、さらにはようやく同棲に至った女性に対して言いたい放題の暴言、そして暴力をふるう。その直後には殊勝に反省してみせるのだが、懲りずにまたも家賃を滞納し、暴力をふるう...。はたから見れば、ホントにどうしようもなく、最低のヤツである。
それでも、自らの言行をめぐってあれこれ思いめぐらし、後悔や反省をするものの、再び同じようなことを繰り返してしまう主人公のさまに、おかしみさえ漂ってきて、つい読まされてしまう。
『どうで死ぬ身の一踊り』(講談社文庫)の解説で、坪内祐三がめずらしく褒めていたけど、文章自体の吸引力というのか、 "文芸"の力とでもいったものを感じる。



また、主人公は大正期のマイナーな作家「藤澤清造」に 心酔し、この作家の全集を独力刊行することを生涯の仕事と思い定め、それが主な作品の軸にもなっている。古本屋から藤澤清造の資料をゲットしてくるくだりなどは、かなりえげつなく、コレクターとはここまでやるんだなぁと思った。ここまでの古書資料の収集手段を書いた小説って、これまでになかったのでは。

ワタクシは刊行順とは関係なく読み始めてしまったけど、これから読んでみようという人にはまず『どうで死ぬ身の一踊り』か『暗渠の宿』から入ることをオススメする。どちらかを面白く読めるなら、一連の作品にも手が伸びるのではないだろうか(たぶん)。
# by t-mkM | 2010-05-11 00:40 | Trackback | Comments(0)

一箱も連休も終わり

一箱古本市が終了し、連休も終わり。
2日間の結果や個人賞など詳細は、しのばずくん便りを。

久しぶりの一箱古本市への参加だったけど、2日間ともかなりの好成績だった様子。そのせいもあってか、2日の打ち上げイベントも会場が居酒屋ではあったものの、やたら盛り上がった。(あの打ち上げ会場は"正解"でしたね)
今回参加してみて、いろんな意味で、不忍ブックストリートの一箱古本市の「すごさ」を感じた。

それから5日は、「秋も一箱古本市」青秋部のおふたりの結婚パーティに出席するため、K(かんから)と根津教会へ。
はじめてここの礼拝堂(でいいのか?)に入った。外観はわりと古いままだけど、内装はすっかりリフォームされているようで、スッキリとキレイ。「結婚する二人に本をプレゼントしよう!」ということだったので、古本Tからは昭和30年代前半に出された『NHK女性教室』という講座テキストの、料理に関した2冊を。他の出席者が持ち寄った本とともに廊下に並べられていたけど、どの本も「なるほどねっ」「さすが!」と思わせるタイトルばかりで、見ているだけでも楽しかった。手作り感あふれる、アットホームでいいパーティだった。
それにしても、着物はちょっと暑かったな。
# by t-mkM | 2010-05-06 23:48 | Trackback | Comments(0)

「第10回 一箱古本市」(1日目)終了しました!

不忍ブックストリートの一箱古本市(1日目)が無事に終了。
午前中に小雨がパラついたり、時おり突風が吹いたり、ちょっとアヤシイ雲行きもあったものの、後半にはスッキリ晴れていい陽気となり、野外イベントには絶好の日和でした。

会場にお越しいただいた大勢のお客さん、そしてお買い上げいただいた皆さんに感謝いたします。
どうもありがとうございました。

また、一箱古本市の実行委員の方々、助っ人の皆さん、そして古本Tが出店していた「ギャラリーkingyo」の方にはたいへんお世話になりました。この場であらためてお礼を申し上げます。また、「ギャラリーkingyo」でいっしょに出店していた皆さんにもお世話になりました。
それから、古本関連での知り合い、近所の友人、K(かんから)の着物仲間ほか、たくさんの友人・知人にも足を運んでもらい、感謝です(おかげさまで好成績でした)。加えて差し入れいただいた方々、ありがとうございました。

今回、久しぶりとなる一箱古本市への参加でしたが、当日の準備やスタッフの方々の対応など的確で分かりやすかったという印象があります。おかげで、出店者としてとても気持ちよく参加できました。一箱古本市も回を重ねて10回目、いろいろとブラッシュアップされてきた、ということなんでしょうね。関係者の皆さんの努力にはアタマが下がります...。

古本Tとしては、今回はじめてテーマを決めて出店してみました。
テーマは「放浪芸」。
それだけでなく、関連する雑芸能やその周辺に類する本、さらには60年代後半あたりの香りのする本なども。また、5月下旬から駒込大観音の境内で公演する水族館劇場に対するリスペクト、「勝手に応援企画」的な意味合いも込めたつもりりです。(公演のチラシも配布しちゃいましたし)
→準備の様子は、K(かんから)の日記でも。

ただそうなると、当然に新しい本ではなくて、古い本ばっかりになります。「古本市」だから、もちろんそれでいいのですが、「この品揃えではたして売れるんだろうか?」という若干の不安があったのも事実。
それでも、フタをあけてみれば、思いのほかたくさんの方々が興味をもって本を手にしてくれて、中高年の男性はもとより(?)、若い女性の方まで幅広く、本を通じてやりとりをすることができました。

おかげで古本Tとしては、これまでにない販売冊数と売り上げで、かんからと二人「おぉっ!」っと驚いたくらい。
これは、傷んだ本であってもフィルムのカバーをかけたり、オリジナルの栞を作ったりした準備のかいあってなのか、それとも谷根千という場所に売り子(?)であるかんからの着物が合っていたのか、はたまた一箱古本市を継続されてきたスタッフの方々による努力のたまものなのか...。

しかも、終了後に根津の「不忍通りふれあい館」で行われた打ち上げイベントでは、なんと、一箱古本市2日目の大家さんでもある「藍と絹のギャラリー」の方より個人賞をいただいた。
受賞理由をうかがうと、どうやらその品揃えを評価してもらえたようで、これはちょっとうれしい驚きでしたね。

一箱古本市、1日目は終わりましたが、続いて5月2日(日)には2日目が開催されます。また、関連して一箱古本市weekでのイベントもまだまだたくさんあります。
 詳細は→ 不忍ブックストリートの公式サイト http://sbs.yanesen.org/
この連休は、お誘い合わせの上、不忍ブックストリートへ。
# by t-mkM | 2010-04-30 00:55 | Trackback | Comments(2)

一箱古本市(4月29日@ギャラリーkingyo)に出店します! その3(ラスト)

一昨日、昨日と、4月29日(木、祝日)に開催されます不忍ブックストリートの一箱古本市に出品予定の本を紹介してきましたが、今回が最後、「その3」です。

 不忍ブックストリートのサイトは→ http://sbs.yanesen.org/

古本Tの出店場所はギャラリーkingyo。アクセスについては、ギャラリーのサイトのこちらを。

それでは以下、表紙写真と本のリストです。
一箱古本市(4月29日@ギャラリーkingyo)に出店します! その3(ラスト)_b0080498_8564450.jpg

○[芸術新潮]特集:東京大学のコレクションは凄いぞ!/新潮社/1995年11月発行
○ジプシー/ジュール・ブロック/木内信敬/白水社/1973年初版・6月
○明治がらくた博物会/林丈二/晶文社/2000年初版
○かくし芸とゲーム/古川明朗/虹有社/1967年29版
○東京の原像/加太こうじ/講談社現代新書/1980年初版
○日本民衆文化の原郷〜被差別部落の民俗と芸能/沖浦和光/解放出版社/1984年初版・4版
○アイヌ童話集/金田一京助、荒木田家寿/講談社文庫/1981年初版・2版
○津軽三味線ひとり旅/高橋竹山/中公文庫/1991年初版
○昭和ジャズ喫茶伝説/平岡正明/平凡社/2005年初版
○ジャズからの出発/相倉久人/音楽之友社/1973年初版
○沖縄の無産運動/安仁屋政昭/おきなわ文庫(ひるぎ書店)/1983年初版・3版
○中世の民衆と芸能/京都部落史研究所編/阿吽社/1986年初版
○ズボン/唐十郎/大和書房/1973年初版・3版
○大野一雄 稽古の言葉/大野一雄舞踏研究所編/フィルムアート社/1997年初版・6版
○酒・うた・男/淡谷のり子/春陽堂書店/1957年初版
○「かわら版・新聞」江戸・明治三百事件[太陽コレクション5]/平凡社/1978年初版
○彼岸と主体/黒田喜夫/河出書房新社/1972年初版
○儀式「伝統と現代」保存版/伝統と現代編集部/伝統と現代社/1977年初版

こうして見ると、テーマは「放浪芸」と言いつつも、かなり幅広いセレクトになっているおります。ほとんど関係ない本もチラホラとあったりしますけど、それらもふくめて手にとってもらえると幸いです。
それから、今年も駒込大観音の境内にて5月下旬から始まる、水族館劇場の公演「恋する虜」のチラシを持っていく予定です。

一箱古本市、いよいよ明日となりました。
4月29日はぜひ会場へお越し下さい。そして、一箱古本市weekにおける関連するイベントへも。

皆さまのご来場をお待ちしています。
# by t-mkM | 2010-04-28 00:56 | Trackback | Comments(0)